経営者の悩み事!言うことを聞かない従業員との関わり方について
- 中小企業診断士 田村雅紀
- 2024年9月9日
- 読了時間: 9分
経営者にとって、従業員との関わり方は重要な課題の一つです。特に、指示や方針に従わない、あるいは言うことを聞かない従業員との関係はストレスを生むことがあります。しかし、従業員が必ずしも「言うことを聞かない」という理由には背景があり、経営者として適切な対応が求められます。本記事では、従業員が言うことを聞かない原因を分析し、建設的な関わり方について解説します。
1. 従業員が「言うことを聞かない」理由とは?

従業員が経営者の指示や期待に従わない原因は、一概に「反抗的だから」とは限りません。そこには複数の要因が存在します。以下に、主な原因を挙げて説明します。
1-1. 経営者とのコミュニケーション不足
多くの場合、従業員が言うことを聞かないのは、指示が明確でなかったり、方針が曖昧だったりすることが原因です。経営者が従業員に対して期待していることを具体的に伝えられない場合、従業員は何をすべきか分からず、結果として言うことを聞かないように見えることがあります。
対応策:
経営者は、従業員に対して明確かつ一貫したコミュニケーションを取ることが重要です。具体的な指示や目標を設定し、それに向かって行動できる環境を整えることで、従業員が混乱することなく取り組むことが可能になります。
1-2. モチベーションの低下
従業員が言うことを聞かないもう一つの理由は、モチベーションが低下していることです。自分の役割に満足していない、仕事に対する興味が薄れている場合、指示に対して消極的な態度を取ることがあります。モチベーションの低下は、従業員が業務に対して真剣に取り組まない要因となり、結果として言うことを聞かないように見えます。
対応策:
経営者は、従業員のモチベーションを高めるための工夫を凝らす必要があります。例えば、従業員の成果を適切に評価し、報酬や表彰制度を導入することで、モチベーションの向上を図ることができます。また、業務内容に柔軟性を持たせたり、成長の機会を提供することで、従業員のやる気を引き出すことができます。
1-3. 職場環境や働き方の問題
職場環境が劣悪だったり、働き方に問題がある場合、従業員が言うことを聞かないことがあります。例えば、過度なストレスや労働時間の長さ、チーム内の人間関係が悪化している場合、従業員は経営者の指示に従う余裕を持てなくなります。
対応策:
従業員が働きやすい職場環境を整えることが重要です。ストレスの軽減や適切な労働時間の確保、チーム内のコミュニケーションを促進する施策を導入することで、従業員が積極的に業務に取り組むことが期待されます。
2. 従業員との信頼関係を築くためのステップ
従業員が言うことを聞かない場合、経営者と従業員の間に信頼関係が欠如していることがしばしば見受けられます。信頼関係がなければ、どれだけ経営者が指示を出しても、従業員はそれに応えようとしません。ここでは、従業員との信頼関係を築くためのステップを紹介します。
2-1. オープンなコミュニケーション
従業員が意見を言いやすい環境を作ることは、信頼関係を築くために不可欠です。経営者が一方的に指示を出すだけでなく、従業員からのフィードバックを受け入れる姿勢を持つことが重要です。
対応策:
定期的なミーティングや個別面談を通じて、従業員が自身の意見や不満を率直に伝える場を設けましょう。また、従業員の意見に対して真摯に耳を傾け、必要に応じて業務内容や方針を見直すことで、従業員に対する信頼が深まります。
2-2. 感謝の気持ちを伝える
従業員が努力して成果を出した場合、それを認めて感謝の意を伝えることが大切です。小さな成果であっても、それを評価することで従業員は自己肯定感を得られ、次の目標に向かってさらに努力するようになります。
対応策:
成果を上げた従業員に対しては、口頭での感謝だけでなく、具体的な報酬や表彰を行うことが有効です。また、従業員の貢献が会社全体に与える影響を具体的に示すことで、モチベーションの向上が期待できます。
3. 問題行動が見られる従業員への具体的対応方法

従業員が言うことを聞かないという問題は、単なる指示に対する不満だけではなく、組織全体の生産性や士気にも悪影響を及ぼすことがあります。ここでは、問題行動が見られる従業員に対する具体的な対応方法を解説します。
3-1. 早期の対応がカギ
従業員の問題行動を放置すると、その影響は他の従業員にも波及し、組織全体の士気が低下する恐れがあります。そのため、問題行動が見られた場合は、早期に対応することが重要です。
対応策:
問題行動が確認された場合、すぐにその従業員と面談を行い、何が問題なのかを明確に伝えるとともに、どのような改善が期待されているのかを具体的に示します。また、従業員の言い分を聞くことで、問題の根本原因を理解し、適切な解決策を見出すことが可能です。
3-2. 訓練やサポートの提供
従業員が期待されるパフォーマンスを発揮できない場合、その原因がスキル不足や業務に対する理解不足であることがあります。この場合、適切な訓練やサポートを提供することで、従業員が業務をこなせるようになるかもしれません。
対応策:
従業員に対して業務に必要なスキルを習得するためのトレーニングを提供し、定期的に進捗を確認することで、スキル不足による問題行動を解消することができます。また、サポート体制を整えることで、従業員が安心して業務に取り組める環境を作り出せます。
4. 従業員の行動変化を促すリーダーシップ
最後に、経営者として従業員の行動変化を促すためには、リーダーシップが重要です。強制的な指示よりも、自発的に行動を変えたいと思わせるようなリーダーシップが、従業員との関わりをスムーズにします。
4-1. 模範を示す
経営者自身が模範となる行動を示すことは、従業員に大きな影響を与えます。従業員に対して求める姿勢や価値観を、経営者自身が体現することで、従業員もその方向に向かって行動を改善しようとする意欲が高まります。
対応策:
経営者自身が、従業員に求める行動や価値観を日々の業務で体現しましょう。例えば、規律正しく業務に取り組む姿勢や、他者に対する敬意、問題に対する建設的なアプローチを率先して示すことが重要です。また、従業員に対して求めることを経営者自身が守ることで、信頼感を生み出し、従業員は自然とその姿勢を模倣するようになります。言葉だけではなく、行動でリーダーシップを示すことが、従業員の態度を変える大きな鍵となります。
4-2. 継続的なフィードバックを行う
従業員の行動を変えるためには、経営者からの継続的なフィードバックが欠かせません。フィードバックは、単に指摘するだけではなく、改善点や成功事例を共有し、前向きな指導を行うことで従業員の成長を促します。
対応策:
定期的な評価面談を通じて、従業員に対してフィードバックを行いましょう。フィードバックは一方通行ではなく、従業員の意見や考えを聞き、対話を重視したアプローチが重要です。また、フィードバックを通じて、目標達成に向けた具体的な改善策を提案し、共に改善を進める姿勢を示すことで、従業員は経営者との信頼関係を感じ、指示に従いやすくなります。
4-3. 長期的な視点を持つ
従業員の行動や態度を改善するには、短期的な結果だけを求めるのではなく、長期的な視点が必要です。経営者が従業員の成長を促進し、時間をかけて彼らの能力を引き出すことができれば、組織全体のパフォーマンス向上にもつながります。
対応策:
長期的な視点で従業員のキャリアパスを考え、成長に必要なサポートを提供しましょう。適切な研修プログラムやスキルアップの機会を提供し、従業員が自分自身の成長に責任を持てるような環境を整えることで、長期的な行動変化を引き出すことが可能です。
5. 難しい従業員との対応における最終手段

経営者がどれだけ努力しても、従業員が変わらない場合もあります。このような場合、最終的には組織全体の利益を守るために、厳しい決断が必要になることもあります。
5-1. 最終的な改善要求の提示
従業員の問題行動が改善されない場合、最終的な改善要求を明確に伝えることが重要です。ここでは、具体的な期限を設け、その間にどのような行動変化が期待されているかを明示します。
対応策:
改善の見込みがない場合は、経営者として最終通告を行い、従業員に対して改善策を具体的に提示し、その結果が得られない場合には厳しい措置(例:降格、解雇など)を取ることを伝えます。こうした手続きは、労働法に基づいた適切なプロセスを踏むことが重要です。
5-2. 解雇という選択肢
どうしても改善が見られない場合や、他の従業員に悪影響を与える場合、最終的には解雇を検討することが必要になることもあります。組織の一員としてふさわしくない行動が続く従業員を放置しておくと、チーム全体の士気や業務効率が低下する可能性があるため、解雇という選択肢を取らざるを得ない場合もあります。
対応策:
解雇を行う際には、法的な手続きを遵守し、労使間でのトラブルが発生しないように細心の注意を払いましょう。解雇はあくまで最終手段として用い、他の全ての手段を尽くした後に行うことが望ましいです。
6. 言うことを聞かない従業員への対応におけるまとめ
経営者にとって、言うことを聞かない従業員への対応は非常に難しい課題です。しかし、その根本原因を探り、適切な対応を取ることで、従業員との信頼関係を築き、行動を改善することが可能です。オープンなコミュニケーションやフィードバックの活用、職場環境の整備を行い、従業員が働きやすい環境を作り出すことが重要です。
また、すべての問題がすぐに解決するわけではありませんが、長期的な視点を持ち、従業員の成長を支援することで、組織全体のパフォーマンス向上につながります。最後に、どうしても問題が改善されない場合には、厳しい決断を下すことも、経営者としての責務であることを理解しておくことが必要です。
言うことを聞かない従業員に対して、適切な対応を取ることで、組織の健全な成長を促し、従業員一人ひとりが最大限の力を発揮できる職場環境を構築することが可能です。
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