採用直結型インターンシップが25卒から解禁!インターンシップ採用に乗り遅れないためやるべきこと
- 中小企業診断士 田村雅紀
- 2024年10月29日
- 読了時間: 6分
2025年卒業予定の学生(以下、25卒)から「採用直結型インターンシップ」の解禁により、企業は新たな形で優秀な人材確保に取り組むことが可能になります。この制度変更により、企業側にはインターンシップを活用して自社にマッチした学生を早期に見極める機会が広がりますが、その反面、対応が遅れると人材獲得競争に乗り遅れるリスクもあります。本記事では、採用直結型インターンシップについての基本情報から、メリット・デメリット、インターンシップを成功させるための進め方と注意点を解説します。
採用直結型インターンシップとは何か?

まず、採用直結型インターンシップとは、インターンシップを通じて採用活動を行う形式のインターンシップを指します。従来のインターンシップは就業体験や業界研究が主な目的とされ、採用活動と明確に区別されていましたが、採用直結型インターンシップでは、インターン期間中に適性や能力を評価し、場合によっては採用内定を行うことができます。
文部科学省・厚生労働省・経済産業省の3省が2022年6月13日に発表した通達により、2025年卒業予定の学生から新しいインターンシップ制度が導入されることが決定しました。この通達には、企業と学生のミスマッチ解消と適性の見極めの機会創出を目指した内容が盛り込まれています。これにより、インターンシップの形式が変化し、学生と企業がより深く関わることができる機会が増えることとなりました。
インターンシップのタイプ別分類
インターンシップにはさまざまなタイプがありますが、今回の制度変更によって、特に採用直結型インターンシップが注目されています。以下に、代表的なインターンシップのタイプを紹介します。
1Day(1日)インターンシップ
1Dayインターンシップは、1日のみの短期プログラムで、企業紹介や職場見学が中心です。学生が企業の雰囲気や業務内容を短時間で知ることができるため、初期段階での接点作りとして効果的です。
短期インターンシップ
1週間程度の短期間で実施されるインターンシップで、就業体験を通して業務の一部を体験できます。業界や企業への理解を深めるために役立ちますが、採用に直結する機会は少なく、あくまで業界・職種研究の機会としての役割が強い傾向にあります。
長期インターンシップ
数か月にわたって業務に従事するもので、学生と企業がじっくりと関係を築くことができます。採用直結のケースも多く、学生は業務を通して自らの適性を確認し、企業も学生の成長や成果を見極めることができます。
2025年卒生から制度が変わった背景
この制度変更は、企業と学生のミスマッチの解消を目指す目的で行われました。現状、多くの企業が採用後に「想定と違った」という理由で早期離職に悩まされており、採用プロセスにおいても、従来のエントリーシートや面接だけでは十分に学生の適性を把握しきれないことが課題となっていました。
新制度では、インターンシップという場を通じて学生に職場環境や実際の業務内容を深く体験してもらい、企業も学生の能力や適性を見極めやすくなります。これにより、従来の書類選考や短期間の面接に頼らず、長期的な関係構築ができるようになり、企業と学生の相互理解が深まると期待されています。
採用直結型インターンシップのメリットとデメリット
メリット
優秀な学生の早期確保
インターンシップの段階から適性のある学生を見極め、早期に採用することができます。特に、専門的な知識やスキルが求められる職種では、早期から学生の成長を見守ることができるため、効果的な人材確保が可能です。
学生と企業の相互理解の深化
実際の業務を通じて学生の適性を知ることで、採用後のミスマッチを防ぎやすくなります。学生も企業文化や職場の雰囲気を深く知ることで、入社後の定着率が向上します。
採用コストの削減
採用活動の一環としてインターンシップを活用することで、通常の採用活動にかかるコストや時間を削減できます。インターンシップでの評価を通じて、早期に見込みのある学生を絞り込むことが可能です。
デメリット
採用活動の先行化によるリソースの消耗
採用直結型インターンシップは早期からの評価が求められるため、人事部門のリソースが通常の採用活動よりも消耗される可能性があります。また、インターンシップ終了後の評価や内定手続きにも手間がかかります。
学生側のモチベーションの変動
インターンシップ期間中に学生のモチベーションが変動する場合、採用への熱意が低下するリスクがあります。これにより、最終的に学生が内定辞退する可能性も否めません。
インターンシップ制度を導入する際の注意点や進め方

採用直結型インターンシップを成功させるためには、事前準備が重要です。以下に、インターンシップ制度を導入する際の注意点と具体的な進め方を説明します。
1. 目的とターゲットの明確化
インターンシップを導入する際は、どのような人材を求めているのか、そしてインターンシップの目的は何かを明確にすることが重要です。採用直結型インターンシップでは、特定の職種やスキルが求められることも多いため、具体的なターゲット像を設定しましょう。
2. インターンシッププログラムの設計
プログラムは学生が企業を深く理解できるよう、実務に即した内容にすることが理想的です。例えば、実際のプロジェクトに参加させたり、社員と共に働く場を提供したりすることで、業務のリアルな一面を経験してもらえます。
3. 適切なフィードバック体制の整備
インターンシップ期間中に、学生に対してフィードバックを行うことは非常に重要です。適切なフィードバックを提供することで、学生の成長を促し、企業への信頼感を高めることができます。特に採用直結型インターンシップでは、採用に向けた評価を踏まえた建設的なフィードバックが求められます。
4. インターンシップ終了後のフォローアップ
インターンシップが終了した後も学生との接点を保つことが大切です。フォローアップを通じて、学生のモチベーション維持や企業に対する理解度を高めると同時に、最終的な採用につなげるための重要なステップです。
5. 適切な評価基準の設定
インターンシップの期間を通じて学生を評価するため、適切な評価基準を設定することが求められます。評価基準は、具体的かつ客観的であることが重要です。また、単にスキルを評価するだけでなく、チームワークやコミュニケーション能力、企業文化への適応性などの評価項目も設けましょう。
まとめ
25卒から導入される採用直結型インターンシップは、企業と学生の双方にとって大きなチャンスです。特に、企業側にとっては早期から優秀な人材を確保し、学生と深い関係性を築ける大きなメリットがあります。しかし、制度の導入にあたっては適切な準備が必要であり、学生との相互理解を深め、企業としての責任を果たすことが重要です。
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