迫る労働力不足！生産性向上に向けた取り組みを進めるには？～人手不足倒産を防ぐために今すぐできること～
- 中小企業診断士 田村雅紀
- 2024年10月18日
- 読了時間: 6分
近年、労働力不足が深刻化する中、特に日本企業はこの問題への対応が急務となっています。パーソル総合研究所と中央大学の推計によれば、2035年には現在の2倍にあたる384万人の労働力不足が生じると見込まれています。こうした状況下で、企業が直面する最大のリスクのひとつが「人手不足倒産」です。人手が足りないことで事業が立ち行かなくなり、最終的には倒産に至るケースが増えると予想されています。
この課題を解決するため、経営者がまず取り組むべきなのが「生産性の向上」です。人手不足に直面しても、効率を高めることで限られた人材で業務を回し、事業を成長させることが可能です。本記事では、労働力不足への対応として企業がどのような生産性向上の取り組みを行うべきか、さらにそのための設備投資を補助金で賄う方法について詳しく解説します。
1. 労働力不足の背景とリスク
労働力不足の深刻化
少子高齢化による労働人口の減少は、企業が抱える最大の課題の一つです。若年層の人口が減少し、定年退職する労働者が増える一方で、働き手の確保がますます難しくなっています。さらに、企業が即戦力となる人材を見つけるのは困難であり、特に中小企業においては人手不足の影響が顕著です。
人手不足倒産のリスク
労働力不足が企業経営に及ぼす最大のリスクは、「人手不足倒産」です。企業が事業を継続するためには、必要な業務をこなすだけの人材が不可欠です。しかし、従業員が足りないと、業務の遂行が難しくなり、納期遅れや品質低下が発生します。その結果、取引先や顧客との信頼が損なわれ、最終的には経営が破綻するリスクが高まります。
2. 生産性向上が求められる理由
人手不足の課題に対処するためには、単に新たな人材を確保するだけではなく、生産性の向上が不可欠です。限られたリソースで最大限の成果を上げるために、経営者はどのような施策を取るべきか、以下に具体的な方法を紹介します。
1. 業務プロセスの見直しと改善
まず、既存の業務プロセスを徹底的に見直し、無駄を排除することが重要です。業務フローの中で、手間や時間がかかりすぎている部分を見つけ、改善できる箇所を特定します。このプロセスの改善には、従業員からのフィードバックも有効です。日々の業務を実際に行っているスタッフから、効率化のためのアイデアを募ることで、現場に即した改善策を導入することができます。
2. デジタル化・自動化の推進
デジタル化や自動化は、生産性を大幅に向上させる手段として非常に有効です。例えば、デジタルツールを導入することで、紙ベースの業務や手作業による作業を削減し、ミスの発生率を低減することができます。また、AI（人工知能）やRPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）を活用することで、従来は人間が行っていた単純作業を自動化し、人員をより高度な業務に集中させることが可能です。
3. 人材育成とスキルアップ
生産性向上に不可欠な要素の一つが、従業員のスキル向上です。限られた人数で効率的に業務を進めるためには、従業員一人ひとりの生産性を高めることが求められます。そのために、適切な研修やスキルアップの機会を提供し、専門知識や技術を習得させることが重要です。特に、デジタルツールの導入に合わせて従業員がそれを使いこなせるようにすることが必要です。
4. 働き方改革の推進
生産性向上には、従業員の働きやすい環境を整えることも欠かせません。長時間労働ではなく、効率的に働くことができる環境を整えることで、従業員のモチベーションや集中力が向上し、結果的に生産性が向上します。リモートワークやフレックスタイム制の導入も一つの手段です。柔軟な働き方を提供することで、従業員が自分のパフォーマンスを最大限発揮できる環境を作り出します。
3. 設備投資による生産性向上の実現
業務プロセスの改善やデジタル化を推進するためには、新しい設備やシステムの導入が欠かせません。しかし、こうした設備投資には多額の費用がかかるため、中小企業にとっては大きな負担となることが多いです。
ここで注目すべきなのが、各種補助金を活用する方法です。特に中小企業向けの補助金制度は、設備投資に必要な資金を大幅に軽減することができるため、積極的に活用するべきです。
1. IT導入補助金
IT導入補助金は、企業が生産性向上のためにITツールやシステムを導入する際に、その費用の一部を補助する制度です。この補助金を活用すれば、業務のデジタル化や自動化を進めるためのシステム導入コストを抑えることができます。例えば、会計ソフトや顧客管理システムの導入にかかる費用を補助してくれるため、初期費用がネックとなっている企業には大きなメリットがあります。
2. ものづくり補助金
ものづくり補助金は、生産性向上を目指して設備投資を行う企業に対して支給される補助金です。新しい機械や設備の導入を検討している企業にとって、特に製造業などにおいては非常に有益な制度です。この補助金を活用することで、高価な機械や設備を導入し、効率的な生産ラインを構築することが可能となります。
4. 補助金を活用する際のポイント
補助金を活用する際には、いくつかの重要なポイントがあります。これを理解しておくことで、よりスムーズに補助金を申請し、活用することができます。
1. 計画的な申請準備
補助金の申請には、事前に準備が必要です。申請書類の作成や必要な情報の収集など、時間がかかることが多いため、余裕をもって準備を進めることが重要です。また、補助金の申請には審査があるため、自社の取り組みがどのように生産性向上に貢献するのかを明確に示す必要があります。
2. 専門家のサポートを受ける
補助金の申請手続きは複雑であり、慣れていない企業にとっては困難に感じることもあります。そのため、補助金の申請に精通した専門家のサポートを受けることをおすすめします。弊社では、補助金の申請サポートを行っており、企業がスムーズに補助金を活用できるよう全力で支援いたします。
5. まとめ
労働力不足の問題は、今後さらに深刻化すると予想されています。人手不足倒産を防ぐためには、経営者が早急に生産性向上に取り組むことが求められます。業務プロセスの見直しやデジタル化、従業員のスキル向上、そして柔軟な働き方の導入は、生産性向上のための重要な施策です。
また、生産性向上に向けた設備投資を行う際には、各種補助金を活用することでコストを抑えることができます。補助金の申請には時間と手間がかかりますが、弊社では補助金活用のサポートを行っておりますので、ぜひご相談ください。
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