集客に悩む経営者へ!広告に頼らない集客方法とは
- 中小企業診断士 田村雅紀

- 2024年8月23日
- 読了時間: 8分
経営者が売上を上げるための第一歩として、多くの方が広告を利用して集客を試みます。しかし、昨今の広告の効果は年々低下し、期待通りの成果を上げることが難しくなっています。その背景には、情報過多の時代において消費者の広告疲れが進んでいることや、広告に対する信頼感の低下が挙げられます。では、広告に頼らずに売上を上げる方法は何か。
1. 信頼関係が集客につながる
お客様に来店してもらうためには、お客様と信頼関係を築く必要があります。もし、あなたがあるサービスを依頼する場合に、信頼している店舗と全く知らない店舗だったら、どちらに依頼したいですか?もちろん、信頼している店舗に依頼したいと思いますよね?
仮に両方で同じ商品を売っていたとしても、どうせ購入するのだったら信頼している店舗から購入したいと思うものです。この信頼関係が強固であればあるほど、お客様は他の店舗に浮気することなく、自店に来店してもらえるようになります。
2. 自己開示で信頼関係を築く
お客様との信頼関係を築くためには、まずお客様に自社を知ってもらうことが重要です。そのための一つの方法が自己開示です。自己開示とは、企業やその従業員が自分たちの価値観や使命、日常の活動、経験、考え方などをお客様に対してオープンに伝えることを指します。
3. なぜ自己開示が集客に大切なのか?

3-1. 共感と信頼の構築
自己開示を行うことで、企業はお客様に対して透明性を示すことができます。企業の価値観やストーリー、スタッフの個人的な一面を知ることで、お客様は企業に対して親しみを感じるようになります。親しみを感じると、自然と共感が生まれ、その結果として信頼関係が深まります。特に中小企業にとって、地域社会や個々の顧客とのつながりを強化することは、大企業との差別化を図るために重要です。
3-2. 人間味を感じてもらう
顧客は、無機質な企業ではなく、人間味のある企業に対して強い結びつきを感じます。自己開示を通じて企業の人間的な側面や、スタッフの人柄、企業文化を伝えることで、お客様に「この企業の人たちは信頼できる」「ここで働く人々は親しみやすい」といった印象を持ってもらうことができます。これにより、企業と顧客の間により深い感情的なつながりが生まれます。
3-3. お客様の参加意識を高める
自己開示を行うと、お客様は企業の内部事情や進行中のプロジェクトなどを知ることができ、企業活動に対して関心を持つようになります。これにより、お客様は単なる購入者ではなく、企業活動の一部として参加している感覚を持つことができ、エンゲージメントが高まります。このようなエンゲージメントの向上は、顧客ロイヤリティの向上にもつながります。
4. 自己開示が与えるお客様への影響
4-1. 安心感の提供
自己開示を通じて企業が透明性を示すことで、お客様は安心感を持つことができます。企業が何を考え、どう行動しているのかを理解することで、不安や疑念を解消しやすくなります。これは特に、商品やサービスを選ぶ際の判断材料として非常に重要です。
4-2. 企業への愛着の形成
自己開示によって企業のビジョンやミッション、社会的取り組み、スタッフの個性などが伝わると、お客様はその企業に対して愛着を感じやすくなります。愛着は顧客ロイヤリティの基盤となり、長期的な関係構築において大きな役割を果たします。特に、企業の価値観と顧客の価値観が一致する場合、その愛着は一層強固なものとなります。
4-3. 口コミの促進
自己開示を積極的に行う企業は、顧客からの口コミや紹介が増える傾向にあります。お客様は、自分が共感した企業や信頼する企業について他の人に伝えたくなるものです。SNSなどで企業の活動やスタッフのストーリーがシェアされると、その情報が広がりやすくなり、結果として新しい顧客の獲得につながります。
4-4. 企業のブランドイメージ向上
自己開示を通じて企業が自社の使命やビジョン、社会貢献活動などを伝えることで、企業のブランドイメージが向上します。お客様は、社会的に責任を持ち、透明性を持って行動する企業に対して好意的な印象を持つため、ブランドロイヤリティも高まります。
5. お客様の関心を育てる

自己開示の次に必要になってくるのが、お客様の“関心”を育てることです。よくインスタグラムを活用しているお店などは、自社商品の写真をアップしたり、安売りキャンペーン情報などを載せたりしています。たしかに、今すぐ必要としているお客様には有益かもしれませんが、まだ関心を持っていないお客様には興味を持ってもらえません。
まずは、お客様に関心を持ってもらうためには、“お客様に有能な情報”を届けることが必要です。例えば、酒造メーカーであれば、お酒の造られ方や、お酒を美味しく飲む方法などについての情報を発信します。そこで、職人がどんな想いでお酒を造っているのか、どれだけの手間暇をかけているのかなどを発信することで、お客様にお酒に興味を持ってもらうことができ、同時に自社商品の価値を伝えることができます。
そうして、お客様の“関心”を育てていった先に、商品紹介を行うことで、初めてお客様は来店へと行動がつながるようになります。
6. 顧客体験の向上
次に集客を上げる方法として重要なのが、顧客体験の向上です。
顧客体験を向上させることが集客につながる理由は下記のとおりです。
6-1. 感情的なつながりを作る
イベントや体験を通じてお客様と直接交流することで、感情的なつながりを築くことができます。感情的なつながりは、お客様のロイヤルティを高める重要な要素です。たとえば、餅つき大会や親子ワークショップなどの楽しいイベントに参加すると、お客様はその場で楽しい体験をし、それがポジティブな感情として記憶に残ります。その結果、再びその楽しい体験を求めて来店する可能性が高まります。
6-2. ブランドのポジティブなイメージを強化する
商売とは直接関係のないイベントを開催することで、「このお店はお客様を大切にしている」といったポジティブなブランドイメージを強化できます。これは、口コミやSNSでのシェアによって新規顧客の集客にもつながります。特に、家族や友人と一緒に楽しめるイベントは、共有したいという気持ちを刺激し、来店意欲を高めます。
6-3. 顧客の期待を超える体験を提供する
多くの消費者は、単なる買い物やサービス利用だけでなく、そこに付加価値のある体験を求めています。店舗での購入に加えて、イベントや体験を提供することで、顧客の期待を超えるサービスを提供できます。これにより、お客様は「特別な体験ができる場所」として認識し、リピート客になる可能性が高まります。
7. 顧客体験を向上させるための取り組み方法

4-1. イベントの開催
ミニ音楽ライブや親子ワークショップのような、商売とは直接関係のないイベントを定期的に開催します。こうしたイベントは、お客様にとって楽しい体験となるだけでなく、家族や友人との絆を深める場としても機能します。たとえば、季節ごとのイベント(夏祭り、ハロウィンパーティー、クリスマスイベントなど)を企画し、お客様が楽しみながら参加できる環境を作ることが重要です。
4-2. ワークショップやセミナーの実施
顧客の興味を引くようなワークショップやセミナーを定期的に開催することも効果的です。たとえば、料理教室やクラフト教室、フィットネスセミナーなど、顧客が興味を持ちそうなテーマを選び、参加者に価値を提供することで、顧客体験を向上させます。こうしたワークショップやセミナーは、顧客との関係を深めるための絶好の機会です。自店舗だけの開催ではなく、近隣店舗と共同で開催することで地域全体を盛り上げることもできるようになります。
4-3. サプライズの提供
来店客に対して予期せぬサプライズを提供することで、顧客体験を向上させることができます。たとえば、特定の日に来店した顧客に対して小さなプレゼントを用意する、来店時に無料のドリンクやスイーツを提供するなどの取り組みが考えられます。サプライズはお客様にとって嬉しい驚きとなり、ポジティブな印象を強化します。
4-4. コミュニティづくり
店舗やブランドの周りにコミュニティを形成し、お客様同士が交流できる場を提供します。オンラインとオフラインの両方でコミュニティを運営し、お客様同士のつながりを促進することで、店舗への親近感を高めることができます。たとえば、SNSでファングループを作ったり、店舗で定期的なミートアップを開催したりすることが考えられます。
まとめ
広告に頼らずに売上を上げるためには、お客様との信頼関係を築くことが大切です。そのうえで、お客様の関心を育てていき、来店につながるような情報発信をしていくことで、初めて商品紹介に興味を持ってもらえます。
また、新規顧客での集客だけにフォーカスするのではなく、既存顧客の顧客体験を向上させることでも、集客につなげることができます。
高い費用をかけて広告を出しても、お客様との信頼関係が無ければ集客にはつながりません。広告に頼らなくても、集客をする方法はありますので、参考にしてみてください。
経営の困りごとはリットコンサルティングにお気軽にご相談ください
経営コンサルティング唯一の国家資格である中小企業診断士が、御社の悩みに寄り添い解決策をご提案いたします。「どの補助金を活用すればよいのか分からない」、「売り上げの伸ばし方が分からない」、「財務体質の改善をしたい」など、困りごとがありましたら、まずはお気軽にご相談ください。




