中小企業の経営者が今すぐ知っておくべき!お金をかけずに効果的な集客を生み出す「口コミ」の力
- 中小企業診断士 田村雅紀

- 2024年8月16日
- 読了時間: 8分
企業が新しい顧客を獲得するための方法として、広告は昔から広く利用されてきました。広告の種類には、企業が自らの資金でメディアに掲載するペイドメディア(Paid Media)、自社が保有するメディアを利用するオウンドメディア(Owned Media)、そして消費者や他の第三者が企業について話すアーンドメディア(Earned Media)があります。
しかし、近年では、従来のペイドメディアの効果が薄れてきた一方で、アーンドメディア、特に口コミの影響力が非常に重要視されるようになっています。本記事では、なぜペイドメディアよりも口コミなどのアーンドメディアが重要なのか、そして口コミを増やし、自社のファンを増やすための方法について詳しく解説します。
なぜペイドメディアではなくアーンドメディアが重要なのか?

1. 消費者の信頼度の変化
過去には、テレビや新聞といったマスメディアでの広告が最も効果的な手法とされていました。しかし、インターネットの普及に伴い、消費者の情報源は大きく変わりました。現代の消費者は、企業が発信するメッセージよりも、実際に商品やサービスを利用した他の消費者の意見やレビューを信頼する傾向があります。
この変化は、消費者が広告の裏にある意図を理解し、それが純粋な情報ではなく、売り込みの一環であることを認識するようになったからです。一方で、他の消費者からの口コミやレビューは、第三者の客観的な視点として受け取られるため、信頼度が高くなります。これが、アーンドメディアの重要性が増している理由の一つです。
2. 広告の飽和と広告回避行動
今日の消費者は、日々大量の広告にさらされています。この広告の洪水状態の中で、消費者は広告に対して次第に耐性を持ち、無意識のうちに広告を無視する、いわゆる「広告回避行動」を取るようになっています。これは、テレビのCMを飛ばす、オンライン広告を無視する、または広告ブロックツールを利用することなどが含まれます。
こうした状況下では、ペイドメディアを通じて企業のメッセージを伝えることがますます難しくなっています。対照的に、口コミなどのアーンドメディアは、消費者が自ら探し求める情報であるため、広告の飽和や回避行動の影響を受けにくいという利点があります。
3. コスト効率の高さ
ペイドメディアは、予算に応じて広告を展開することができますが、継続的に多額の費用がかかります。一方、アーンドメディアの口コミは、自然発生的に広がるため、広告予算を大幅に削減できる可能性があります。もちろん、口コミを促進するための施策にはある程度のコストがかかる場合もありますが、その費用対効果は非常に高いと言えるでしょう。
口コミを増やすためにはどうすればよいのか?

1. 顧客体験の向上
口コミを増やすための最も基本的な方法は、顧客に優れた体験を提供することです。顧客が商品やサービスに満足した場合、その体験を他人に共有したいという欲求が生まれます。これが口コミの出発点となります。逆に、顧客が不満を感じた場合も、その不満を周囲に伝える可能性が高いため、ネガティブな口コミが広がるリスクもあるのです。
顧客体験を向上させるためには、以下の点に注意する必要があります。
高品質な商品・サービスの提供
顧客が満足するためには、まず商品やサービス自体が高品質であることが前提です。そのうえで、他社にはない独自性だったり、ユニークなサービスといったことが求められます。
顧客対応の充実
顧客との接点であるカスタマーサービスやサポートの質も非常に重要です。迅速で丁寧な対応は、顧客に好印象を与えます。
パーソナライゼーション
顧客一人ひとりのニーズに合わせた対応やサービス提供ができるようにすることも、顧客満足度を高めるポイントです。
2. ソーシャルメディアの活用
ソーシャルメディアは、口コミを拡散するための強力なツールです。企業が公式アカウントを運営するだけでなく、顧客が自発的に商品やサービスについて投稿できるような仕組みを作ることが重要です。例えば、顧客が写真やレビューを投稿することで割引が受けられるキャンペーンを行うなど、顧客参加型の企画を実施することで、自然な口コミを増やすことができます。
また、ソーシャルメディアを通じて、顧客の声に迅速に反応し、フィードバックを活かすことで、顧客との信頼関係を築くことも可能です。
3. インフルエンサーとの連携
近年、インフルエンサーマーケティングが注目されています。インフルエンサーとは、特定の分野で多くのフォロワーを持ち、影響力を持つ人物のことを指します。彼らが自社の商品やサービスについてポジティブな発信を行うことで、そのフォロワーに対して強い影響を与えることができます。
インフルエンサーとの連携を成功させるためには、自社のブランドイメージに合ったインフルエンサーを選ぶことが重要です。また、単なる広告ではなく、インフルエンサー自身が本当に商品やサービスを気に入っていることが伝わるような自然なプロモーションが求められます。
インフルエンサーを活用する場合には、ターゲットとインフルエンサーの親和性があるかを確認することが大切です。特定の地域に販促したい場合などは、マイクロインフルエンサーといった、特定の地域にフォロワーの多いインフルエンサーを使うことが大切になってきます。
4. レビューの促進
口コミの一環として、オンラインレビューの重要性も増しています。AmazonやGoogle、食べログなど、さまざまなプラットフォームでのレビューは、潜在顧客が購入を決定する際の重要な参考材料となります。そこで、顧客に対して積極的にレビューを依頼することが有効です。
レビューを促進するための具体的な方法としては、購入後のフォローメールでレビューを書いてもらうよう依頼したり、レビューを書いた顧客に対して特典を提供するなどが考えられます。ただし、レビュー依頼は過度にならないよう、適切なタイミングと頻度で行うことが大切です。
自社のファンを増やすためにはどうすればよいのか?

口コミが広がり、企業の評判が向上すれば、次に目指すべきは「ファンづくり」です。ファンとは、単なる顧客ではなく、その企業やブランドを積極的に支持し、継続的に利用し続ける存在です。ファンを増やすためには、以下の戦略が有効です。
1. ブランドストーリーの発信
企業の価値観や理念、歴史などを伝えるブランドストーリーは、顧客との感情的なつながりを築くために重要です。単なる商品やサービスの提供だけでなく、その背後にある思いやストーリーを共有することで、顧客はその企業に対して親近感や共感を抱くようになります。
ブランドストーリーを伝えるためには、オウンドメディアやソーシャルメディア、イベントなど、さまざまなチャネルを活用することが考えられます。
2. エンゲージメントの強化
顧客とのエンゲージメント(関与)を強化することで、ファンづくりが促進されます。エンゲージメントを高めるためには、継続的なコミュニケーションが欠かせません。メールマガジンやSNSでの定期的な情報発信に加えて、顧客との対話を促す工夫が求められます。例えば、商品やサービスに関するアンケートを実施し、顧客の声を直接集めることも効果的です。これにより、顧客が自分の意見が尊重されていると感じることができ、エンゲージメントが向上します。
また、顧客参加型のイベントやワークショップを開催することで、顧客との直接的な交流の機会を増やすことも有効です。イベントを通じて顧客同士が交流する場を提供することで、コミュニティの形成が促進され、ブランドへのロイヤルティが向上します。
3. ロイヤルティプログラムの導入
顧客の継続的な利用を促進し、ファンとの関係を深めるためには、ロイヤルティプログラムの導入が有効です。これは、ポイント制度やメンバー限定の特典を提供することで、顧客が自社の商品やサービスを引き続き利用する動機を与えるものです。例えば、ポイントを一定以上貯めると割引を受けられる仕組みや、メンバーシップ限定のイベントを開催するなどの施策が考えられます。
ロイヤルティプログラムは、顧客に自分が特別な存在であると感じさせ、継続的な利用を促進することで、長期的な関係構築に繋がります。
さらに、ロイヤルティプログラムは顧客データの蓄積にも役立ちます。顧客の購買履歴や行動パターンを分析することで、よりパーソナライズされたサービスやプロモーションを提供することが可能になります。これにより、顧客満足度が向上し、口コミによる新規顧客の獲得が期待できます。
まとめ
アーンドメディアを中心とした口コミ戦略は、従来のペイドメディアに頼らない、新しいマーケティングの形として注目されています。顧客の信頼を得るためには、優れた顧客体験の提供やソーシャルメディアの活用、インフルエンサーとの協業、そしてロイヤルティプログラムの導入など、多面的なアプローチが求められます。
中小企業の経営者は、限られたリソースを最大限に活用し、口コミを通じて自社のファンを増やすことができます。ファンを増やすことで、持続的な成長と競争力の強化が実現できるのです。口コミ戦略の成功は、企業の未来を切り開く重要な鍵となるでしょう。
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