経営者は要注意!なぜ指示待ち社員ができるのか?
- 中小企業診断士 田村雅紀

- 2024年8月2日
- 読了時間: 6分
経営者として企業の成長を推進するためには、社員の自主性と自立性を促進することが重要です。しかし、業務がスムーズに進行しない原因の一つとして「指示待ち社員」の存在があります。指示待ち社員は、自ら積極的に行動せず、常に上司からの指示を待つ傾向があるため、企業の業務効率や成長に影響を及ぼします。この記事では、なぜ指示待ち社員が生まれるのか、その要因や対策、そして経営者としてどう対処すべきかについて詳しく解説します。
指示待ち社員が生まれる要因
1. 明確なビジョンと目標の欠如
指示待ち社員が生まれる主な原因の一つは、会社やチームのビジョンや目標が不明確であることです。社員が業務の目的や目標を理解していない場合、何をどう進めればよいのかが分からず、結果的に指示を待つ状態になってしまいます。
2. 上司からの過剰な指示

上司が細かい指示を出しすぎると、社員は自分で考える必要がなくなり、指示待ちになってしまいます。過剰な指示は、社員の自立性や創造性を抑制し、業務の進行を遅らせる原因となります。
3. 過去の失敗からの恐怖
過去の経験から失敗を恐れる社員もいます。このような社員は、自分で判断して行動することに対して不安を感じ、指示を待つことで失敗を回避しようとします。この恐怖心が指示待ちの行動パターンを作り出すのです。
4. スキルや知識の不足
業務に必要なスキルや知識が不足している社員も、指示待ちになる傾向があります。自信を持てないため、自分で判断せず、指示を待つことで安心しようとします。
5. モチベーションの低下
社員のモチベーションが低下すると、仕事に対する意欲が薄れ、積極的に取り組む姿勢が欠如します。結果として、指示待ちの状態が続くことになります。モチベーションの低下は、経営者や管理職のサポート不足や評価制度の不備などが原因となることがあります。
指示待ち社員の存在による弊害
指示待ち社員がいることによって、以下のような弊害が生じることがあります
1. 業務効率の低下
指示待ち社員は、自ら進んで業務を進めることが少なく、上司からの指示を待っているため、業務が停滞する可能性があります。これにより、プロジェクトやタスクの進行が遅れ、全体の業務効率が低下します。
2. チームの士気の低下

指示待ち社員がいると、他の社員が過剰に負担を強いられることがあります。これにより、チーム全体の士気が低下し、協力的な雰囲気が損なわれることがあります。チーム全体の生産性や雰囲気に悪影響を及ぼします。
3. イノベーションの停滞
社員が指示待ちの状態では、自ら新しいアイデアを提案したり、業務改善を試みたりすることが少なくなります。これにより、イノベーションが進まず、企業の競争力が低下する可能性があります。
4. リーダーシップの負担増
上司や経営者が指示待ち社員の業務を管理する際、細かい指示を出す必要があり、リーダーシップの負担が増します。これにより、リーダーが他の重要な業務や戦略的な業務に集中できなくなる可能性があります。
5. 社員の成長の停滞
指示待ち社員は自分で考えたり、問題を解決したりする機会が少ないため、スキルや経験の積み重ねが不足します。結果として、社員の成長が停滞し、長期的に見て企業の人材育成にも悪影響を及ぼします。
指示待ち社員に対する対策

1. ビジョンと目標の明確化
経営者は会社のビジョンや目標を明確にし、社員全員に共有することが重要です。目標が明確であれば、社員は自分の役割や目標に向かって自主的に行動しやすくなります。また、定期的に目標の進捗状況を確認し、フィードバックを行うことも効果的です。
2. 自主性を促す指導法の導入
社員が自ら考え、行動する能力を育むためには、指示の仕方を工夫する必要があります。具体的には、指示を出す際に「目的」や「期待する成果」を明確にし、社員が自分で解決策を考える余地を残すことが大切です。また、指示後は社員の判断を尊重し、必要に応じてサポートを行うことで、自主性を育てることができます。
3. 失敗を許容する文化の醸成
社員が失敗を恐れることなく、挑戦する姿勢を持てるようにするためには、失敗を学びの一部として受け入れる文化を作ることが必要です。経営者自身が失敗に対してポジティブな態度を示し、社員が失敗を恐れずに新しいことに挑戦できるような環境を整えましょう。
4. スキルアップの機会を提供
社員が必要なスキルや知識を習得するための研修や教育の機会を提供することも重要です。スキルアップのためのプログラムを導入し、社員が自信を持って業務に取り組めるように支援しましょう。
5. モチベーションの向上
社員のモチベーションを向上させるためには、適切な評価制度や報酬制度を導入することが効果的です。社員の努力や成果を正当に評価し、認めることで、仕事に対する意欲を高めることができます。また、社員とのコミュニケーションを大切にし、彼らの意見や要望を聞くことで、働きやすい環境を提供しましょう。
経営者としての取り組み
経営者として指示待ち社員を減らすためには、以下の取り組みが求められます。
ビジョンと目標の共有
経営者は、企業のビジョンや目標を全社員に明確に伝え、共有することで、社員が自分の役割を理解し、自発的に行動できるようにすることが大切です。
リーダーシップの強化
リーダーシップを発揮し、社員に対して指導やサポートを行うことで、自主性を引き出す環境を整えましょう。リーダーシップの強化には、コミュニケーション能力の向上や、社員の成長をサポートする姿勢が求められます。
社員の意見を尊重する

経営者は、社員の意見や要望を尊重し、積極的に取り入れることで、社員のモチベーションを高めることができます。また、社員との対話を通じて、問題点や改善点を把握し、適切な対策を講じることが重要です。
効果的な評価制度の導入
社員の業績や成果を適切に評価し、報酬や昇進に反映させることで、社員の意欲を高めることができます。評価制度は透明性があり、公正であることが求められます。
持続的な改善とフィードバック
経営者は、業務の進捗状況を定期的に確認し、改善点や課題を見つけ出し、フィードバックを行うことが重要です。持続的な改善を行うことで、社員の成長を促進し、指示待ち社員の問題を解決することができます。
まとめ
指示待ち社員が生まれる要因には、ビジョンや目標の不明確さ、上司からの過剰な指示、過去の失敗からの恐怖、スキルや知識の不足、モチベーションの低下などがあります。経営者としては、これらの要因を把握し、適切な対策を講じることで、社員の自主性や自立性を促進することができます。ビジョンや目標の明確化、自主性を促す指導法の導入、失敗を許容する文化の醸成、スキルアップの機会提供、モチベーションの向上などの取り組みを行うことで、指示待ち社員を減らし、企業の成長を実現しましょう。
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