中小企業は優秀な社員を採用できなければ自社で育て上げろ!GROWモデルで成長を促す方法
- 中小企業診断士 田村雅紀

- 2024年8月1日
- 読了時間: 5分
中小企業において、優秀な社員を採用することは大企業と比較して非常に困難です。そのため、中小企業では優秀な社員を外部から採用するのではなく、自社で育成することが求められます。社員の成長を促すための効果的な方法の一つが「GROWモデル」です。今回は、このGROWモデルを活用して社員をどのように成長させれば良いのかについて詳しく解説します。
GROWモデルとは?

GROWモデルは、Goal(目標)、Reality(現実)、Options(選択肢)、Will(意志)の4つのステップから成り立つコーチングのフレームワークです。このモデルは、社員の目標達成をサポートし、成長を促すために有効です。以下、それぞれのステップについて詳しく説明します。
1. Goal(目標)
まず最初に、社員が達成したい具体的な目標を設定します。この目標は、短期的なものでも長期的なものでも構いませんが、SMART(Specific, Measurable, Achievable, Relevant, Time-bound)な目標設定が重要です。
具体例:
具体的(Specific):3ヶ月以内に新規顧客を10社獲得する。
測定可能(Measurable):新規顧客獲得数を明確に数えることができる。
達成可能(Achievable):現実的な範囲内で目標を設定する。
関連性(Relevant):会社のビジョンやミッションに関連している。
時間制限(Time-bound):目標達成の期限を設定する。
2. Reality(現実)
次に、現在の状況や環境を客観的に把握します。社員が目標に対してどのような状況にあるのか、どのような資源が利用できるのかを明確にすることが重要です。現実を正確に把握することで、適切な行動計画を立てることができます。
具体例:
現在の業績やパフォーマンスを評価する。
社内のリソースやサポート体制を確認する。
過去の成功事例や失敗事例を分析する。
3. Options(選択肢)
現実を把握した後、目標達成に向けて考えられる様々な選択肢を洗い出します。このステップでは、社員自身が自由にアイデアを出し、どの選択肢が最も効果的であるかを検討します。多様な選択肢を考えることで、柔軟な対応が可能となります。
具体例:
新しいスキルや知識を習得するための研修やセミナーに参加する。
メンターを見つけてアドバイスをもらう。
異なる部署やプロジェクトに参加して経験を積む。
4. Will(意志)
最後に、具体的な行動計画を立て、実行に移すための意志を固めます。このステップでは、目標達成に向けた具体的な行動ステップを設定し、進捗を定期的に確認します。また、必要に応じて修正を加えながら進めていくことが大切です。
具体例:
週に一度の進捗報告ミーティングを設定する。
行動計画の進捗を確認するためのチェックリストを作成する。
必要に応じて目標や計画を見直す。
GROWモデルの効果

GROWモデルを活用することで、中小企業でも社員の成長を効果的にサポートすることができます。以下に、GROWモデルの具体的な効果をいくつか挙げてみます。
1. 目標達成意識の向上
社員自身が目標を設定し、その達成に向けて行動することで、自己効力感が高まり、目標達成意識が向上します。
2. 問題解決能力の向上
現実を客観的に把握し、多様な選択肢を考えるプロセスを通じて、社員の問題解決能力が向上します。
3. コミュニケーションの活性化
GROWモデルを導入することで、上司と部下のコミュニケーションが活性化し、相互理解が深まります。
4. 自己成長の促進
社員自身が主体的に行動することで、自己成長を促す環境が整い、長期的なキャリア形成に役立ちます。
5. 組織全体のパフォーマンス向上
社員一人ひとりの成長が組織全体のパフォーマンス向上に繋がり、企業の競争力が強化されます。
6. 離職率の低下
社員が自己成長を実感できる環境を提供することで、離職率の低下に繋がります。
GROWモデルを実践するためのポイント

GROWモデルを実践するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
1. コーチングの導入
GROWモデルはコーチングのフレームワークであるため、社内にコーチング文化を根付かせることが重要です。上司やリーダーがコーチングスキルを身につけ、社員の成長をサポートします。
2. フィードバックの徹底
定期的なフィードバックを行い、社員の進捗状況を確認し、適切なサポートを提供します。フィードバックはポジティブなものだけでなく、建設的な批評も含めて行います。
3. 自己評価の促進
社員自身が自己評価を行うことで、自己理解が深まり、成長の実感を得ることができます。自己評価のプロセスを取り入れ、社員が自分の強みや弱みを把握する手助けをします。
4. 成功事例の共有
他の社員の成功事例を共有することで、モチベーションを高め、他の社員にも良い影響を与えることができます。成功事例は、具体的な方法や結果を示すことで、他の社員にとっても参考になります。
5. 継続的な学習環境の整備
社員が常に学び続けられる環境を整えることが重要です。社内外の研修やセミナー、eラーニングなどの学習機会を提供し、社員の成長をサポートします。
まとめ
中小企業が優秀な社員を育成するためには、GROWモデルを活用したコーチングが非常に有効です。目標を明確に設定し、現実を客観的に把握し、多様な選択肢を検討し、具体的な行動計画を立てることで、社員の成長を促進することができます。GROWモデルを導入することで、中小企業でも優秀な社員を育て上げ、企業全体の成長を実現することができるでしょう。
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