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求められる人材の流動化!中小企業にも求められるジョブ型人事とは?

近年、日本の労働市場は大きな転換期を迎えています。少子高齢化や人手不足の問題に直面する中で、政府は労働市場改革を推進しています。その中でも特に注目されているのが「ジョブ型人事」です。従来の日本の労働環境は「昭和型」とも呼ばれ、年功序列や終身雇用が主流でした。しかし、今の時代ではその働き方では企業が競争力を維持できなくなってきています。この記事では、なぜ人材の流動化が必要とされ、ジョブ型人事への変革が求められるのか、そして中小企業が取るべき対応について詳しく説明します。


1. 人材の流動化が求められる背景


企業の面接を受けるビジネスマン

日本の労働市場は長らく「終身雇用」と「年功序列」を基本とした「昭和型」の働き方が根付いてきました。しかし、グローバル競争の激化やデジタル技術の進展によって、企業に求められるスキルや人材の要件が変化し、人材の流動化が必要となってきています。これにはいくつかの要因が挙げられます。


a. 技術革新とデジタル化の進展

AIやロボティクス、ビッグデータ解析などの技術革新により、産業構造が大きく変わっています。従来の業務が自動化される一方で、新しい職務やスキルが求められるようになっており、労働者もそれに応じて新しいスキルを習得し、柔軟に対応できることが重要です。このような背景から、政府も「リスキリング」に注力し、従業員の再教育を推進しています。


b. 人手不足の深刻化

少子高齢化に伴い、特に中小企業では慢性的な人手不足が問題となっています。従来のように長期間にわたって同じ従業員が働き続けることが難しくなっている中、外部から優秀な人材を確保し、必要なスキルを持った人材を柔軟に採用するためには、企業自体がジョブ型の人事制度に変革し、職務内容や必要なスキルを明確にした上で適切な評価を行うことが求められます。


c. グローバル競争の激化

グローバルなビジネス環境では、競争がますます激しくなっており、企業は迅速かつ効率的に変化に対応する必要があります。ジョブ型人事は、グローバルスタンダードとも言える人事制度であり、企業が競争力を保つために不可欠です。具体的には、明確な職務定義とそれに対する報酬制度を導入し、優秀な人材を適切に配置することが重要です。


2. ジョブ型人事とは?

ジョブ型人事は、従来の日本型の人事制度とは異なり、個々の職務内容を明確にし、その職務に基づいて採用、評価、処遇を行う制度です。これまでの年功序列型や終身雇用型の「メンバーシップ型人事」では、職務が固定されず、組織内での移動や経験が重視されていましたが、ジョブ型では特定の職務に必要なスキルや能力が評価の基準となります。


ジョブ型人事の主な特徴


職務内容の明確化:職務の範囲が明確に定義され、その職務に必要なスキルや経験が明確にされます。


成果主義:職務の成果に応じて報酬や昇進が決定されます。能力や努力よりも、実際の業績が評価されることが多いです。


人材の流動化:特定の職務に必要なスキルを持つ人材が、他の企業や業種に転職しやすくなるため、業界全体での人材の流動性が高まります。


3. 中小企業がジョブ型人事に対応するためのステップ


ジョブ型人事で採用されたプログラマー

中小企業がジョブ型人事に移行するためには、いくつかの段階的な取り組みが必要です。以下では、その具体的なステップについて説明します。


a. 職務定義とスキル要件の明確化

まず、各職務の内容や責任範囲を明確に定義することが必要です。これにより、各従業員が何を期待されているのかが明確になり、適切なスキルを持った人材を採用・育成するための基盤が整います。


b. 成果に基づく評価制度の導入

ジョブ型人事では、成果に基づいた評価制度が重要です。従業員がどのような成果を上げたかに応じて報酬や昇進を決定することで、公平で透明性の高い組織文化が形成されます。また、これにより、従業員のモチベーション向上や優秀な人材の定着にもつながります。


c. リスキリングの促進

技術革新のスピードに対応するため、従業員のスキルを定期的に更新する「リスキリング」の促進が不可欠です。特にデジタルスキルやコミュニケーションスキルの向上が求められる中、企業は研修プログラムや自己学習の機会を提供することが重要です。これにより、従業員が新しい業務や役割に対応できるようになります。


d. 柔軟な働き方の導入

リモートワークやフレックスタイム制など、柔軟な働き方を導入することで、幅広い人材を確保することができます。これにより、特定の地域に限定されない優秀な人材の採用が可能となり、ジョブ型人事との相乗効果が期待されます。


4. 対応しない場合のリスク

中小企業がジョブ型人事への移行に対応しない場合、さまざまなリスクが考えられます。


a. 優秀な人材の流出

職務内容や評価基準が不明確なままでは、優秀な人材は自分のキャリアパスが見えず、他の企業に転職してしまう可能性があります。特に、グローバルな競争環境においては、より明確な報酬体系とキャリアパスを提供する企業が選ばれる傾向にあります。


b. 組織の硬直化

従来の年功序列型の制度では、若手社員の成長機会が限定され、組織全体の柔軟性が失われます。これにより、変化に対応できない組織が硬直化し、競争力を失うリスクが高まります。


c. 労働市場での競争力低下

ジョブ型人事を導入しない企業は、求職者からの選ばれる機会が減少し、労働市場での競争力が低下します。特に若い世代の労働者は、自身のスキルを発揮できる職務環境を求める傾向が強く、ジョブ型の導入は企業にとっても必須の施策となります。


5. 経営者が取り組むべき具体策

a. 中長期的な人材戦略の策定

経営者は、ジョブ型人事の導入に向けて中長期的な人材戦略を策定する必要があります。どのようなスキルセットが今後の事業成長に必要かを見極め、必要な人材を育成・採用する体制を整えることが重要です。


b. 組織文化の変革

ジョブ型人事の成功には、組織文化の変革が必要です。従業員が成果に基づいて評価される文化を醸成し、透明性のある組織運営を実現することで、従業員のエンゲージメントが向上します。


6. まとめ

中小企業がジョブ型人事を導入し、労働力の流動化に対応することは、競争力を維持し、成長を続けるために不可欠です。企業がこの変革を逃すことは、優秀な人材の流出や競争力低下といったリスクを伴います。経営者は、積極的にリスキリングや職務定義の明確化を進め、ジョブ型人事を取り入れることで、未来の労働市場での成功を目指すべきです。


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中小企業診断士
​田村雅紀

地方移住をきっかけに、ブランドCEOから中小企業診断士にキャリアチェンジ。

​広島の中小企業の経営者の悩みを一緒に解決していけるよう、伴走支援を行っています。

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