顧客の本音を聞き出すコツ!無駄話から始まる信頼関係構築
- 中小企業診断士 田村雅紀
- 2024年8月19日
- 読了時間: 7分
中小企業の経営者として、顧客のニーズを正確に把握することは、ビジネスの成長に不可欠です。しかし、顧客が本音で話してくれることは簡単ではありません。顧客の本音を聴きだすためには、単なるビジネスの会話だけではなく、彼らが心を開いて話しやすい環境を作ることが必要です。本記事では、顧客の本音を引き出すための具体的なコツについて解説します。
1. なぜ顧客の本音を聴きだすことが重要なのか?

まず、なぜ顧客の本音を聴きだすことが重要なのかを理解しておくことが必要です。顧客が本音を話してくれることで、あなたのビジネスにとって次のようなメリットがあります。
1-1. 真のニーズを把握できる
顧客が表面的な意見や要望を伝えてくることはよくありますが、真のニーズはその裏に隠れていることが多いです。本音を聴きだすことで、顧客が本当に求めているもの、つまり潜在的なニーズを把握することができます。
1-2. 長期的な信頼関係を築ける
顧客の本音を引き出し、そこから得た情報をもとに提案やサービスを提供することで、顧客との信頼関係が強化されます。これにより、顧客はリピーターになり、ビジネスの安定的な成長につながります。
1-3. 誤解やミスコミュニケーションを防げる
顧客との間で誤解やミスコミュニケーションが起こると、結果的に不満やトラブルにつながります。本音を聴きだしておくことで、顧客の期待に応えることができ、不満を未然に防ぐことができます。
2. なぜ「無駄話」が顧客の本音を聞き出す鍵なのか?
「商談なんだから、無駄話なんてする時間はない!」
そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、顧客の本音を聞き出すためには、「無駄話」こそが最も効果的な手段の一つなのです。
2-1. 顧客は、いきなり心を開いて本音を話してくれません。
初対面の人に対して、いきなりプライベートなことを打ち明ける人はほとんどいないでしょう。顧客も同様です。
まずは、お互いの間に信頼関係を築き、相手が心を開いてくれるような雰囲気を作ることが大切です。
2-2. 「無駄話」は、そのための潤滑油のような役割を果たします。
仕事の話だけでなく、趣味の話や最近の出来事など、何気ない会話を通じて、相手との共通点を見つけたり、人間的なつながりを深めることができます。
このような「無駄話」を通して、顧客はあなたに対して「この人なら話しても大丈夫かも」という安心感を持つようになり、次第に心を開いてくれるようになるのです。
3. 顧客の本音を聞き出すための「無駄話」のコツ

では、具体的にどのような「無駄話」をすれば、顧客の本音を聞き出すことができるのでしょうか。
3-1. 自己開示の大切さ
顧客に心を開いてもらうためには、こちらからも自己開示を行うことが重要です。自己開示とは、自分のことを相手に話すことを指します。例えば、自分の趣味や好きな映画、家族の話などを軽く共有することで、顧客も「この人は信頼できる」と感じるようになります。自己開示を通じて、相手も「自分のことをもっと話しても大丈夫だ」と思うようになり、徐々に本音を話しやすくなるのです。
自己開示を行う際のポイントは、無理に深い話をするのではなく、あくまで自然体で、自分が話しても問題ないと感じる範囲で行うことです。相手に共感を求めたり、過剰に自分のことを話しすぎたりすることは避け、あくまで会話のキャッチボールを楽しむ感覚で進めていくことが大切です。
3-2. 相手の興味のあることを尋ねる
相手の興味のあることを尋ね、それに合わせて話を広げていくことも効果的です。
例えば、相手のデスクに飾られている写真を見て、「この旅行、楽しそうでしたね!」と声をかけたり、会社のホームページを見て、「この製品、開発に苦労されたそうですね」と質問したりするのも良いでしょう。
相手の話を真剣に聞く姿勢を見せることで、相手はあなたに対して好感を抱き、より多くのことを話してくれるようになるはずです。
3-3. 傾聴の技術を磨く
顧客の本音を引き出すためには、無駄話や自己開示だけでなく、相手の話をしっかりと聞く「傾聴」の技術も欠かせません。傾聴とは、相手の話をただ聞くだけでなく、その内容を理解し、共感する姿勢を示すことです。顧客が話している間に自分の意見を挟んだり、話の腰を折ったりせず、まずは最後まで話を聞きましょう。
また、顧客の話を受け入れる際には、相槌やうなずき、視線の合わせ方にも気を配ると良いでしょう。これにより、顧客は「この人は自分の話をちゃんと聞いてくれている」と感じ、安心感を持つことができます。このような安心感が、顧客が本音を話すきっかけとなるのです。
3-4. 質問の仕方を工夫する
顧客の本音を引き出すためには、質問の仕方も重要です。直接的に「本音を教えてください」と尋ねるのではなく、間接的に問いかけることで、顧客も話しやすくなります。例えば、「最近、何か気になっていることはありますか?」や「こういった状況で、どのように感じましたか?」といった質問を投げかけることで、顧客も自分の気持ちを整理しながら話すことができます。
質問の内容も、あまりにも具体的すぎると顧客が答えにくくなってしまうため、柔らかい表現で、相手の考えを尊重するようにしましょう。また、質問に対して顧客が答えた際には、その答えを深掘りするような質問を追加で投げかけることで、さらに深い話に進むことができます。
3-5. 信頼関係を築く時間を確保する

顧客の本音を引き出すためには、何よりもまず信頼関係を築くことが不可欠です。しかし、信頼関係は一朝一夕で築けるものではありません。そのため、顧客との関係性を深めるための時間を確保することが重要です。定期的なフォローアップや、直接会う機会を増やすことで、顧客との信頼関係を強化することができます。
また、商談や打ち合わせの際には、無駄話や雑談に十分な時間を割くことも大切です。時間に追われてしまうと、どうしてもビジネスの話に集中してしまいがちですが、あえて雑談を取り入れることで、顧客との距離感を縮めることができるのです。
3-6. 顧客の感情に寄り添う
顧客の本音を引き出すためには、顧客の感情に寄り添う姿勢が求められます。ビジネスの場では、どうしても数字や結果が重視されがちですが、顧客も一人の人間であり、感情があります。そのため、顧客がどのように感じているのかを察知し、その感情に共感することで、顧客も心を開きやすくなります。
例えば、顧客が困っている様子を見せた場合には、「それは大変ですね」と共感する言葉をかけることで、顧客も「この人は自分のことを理解してくれている」と感じることができます。このような感情の共有が、顧客の本音を引き出す大きな助けとなるのです。
4. 商談で「無駄話」を取り入れる際の注意点
商談で「無駄話」を取り入れる際には、以下の点に注意しましょう。
4-1. 時間配分を意識する
「無駄話」にばかり時間を費やしてしまうと、本来の商談が進みません。時間配分をしっかりと意識し、無駄話を適度なタイミングで切り上げるようにしましょう。
4-2. 相手の反応を見ながら進める
相手の反応を見ながら、話題を変えるなど臨機応変に対応することが大切です。
4-3. 目的を忘れない
「無駄話」をする目的は、顧客との信頼関係を築き、本音を聞き出すことです。その目的を忘れずに、会話を進めましょう。
まとめ
顧客の本音を引き出すことは、中小企業の経営者にとって非常に重要な課題です。しかし、顧客が本音を話してくれるのは、信頼関係がしっかりと築かれている場合に限られます。そのためには、無駄話や自己開示、傾聴といったコミュニケーションスキルを駆使し、顧客との距離感を縮めることが大切です。また、継続的なコミュニケーションを通じて、顧客との信頼関係を深めることも必要不可欠です。
これらのコツを実践することで、顧客の本音を引き出し、その声を反映したビジネス戦略を展開することができるでしょう。顧客の本音を聞くことができれば、ビジネスの方向性をより明確にし、事業の成長につなげることができるはずです。
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