【広島県人的資本経営促進補助金】企業が生き残るための新時代経営とは?人的資本経営の本質と補助金活用法を徹底解説
- 中小企業診断士 田村雅紀
- 4月14日
- 読了時間: 6分
更新日:4月18日
経営資源の中心が「ヒト」に移行している今、企業が持続的な成長を遂げるには、従業員を単なる“労働力”ではなく“資本”と捉えた「人的資本経営」が重要視されています。そんな中、広島県は全国に先駆けてこの考え方を支援する「人的資本経営促進補助金」を創設しました。
本記事では以下のポイントを深掘りし、広島県内企業がどのようにこの補助金を活用して人的資本経営に取り組めるのかを詳しく解説します。
1. 人的資本経営とは
“人は資源”から“人は資本”へ

従来の人材マネジメントでは、従業員は「ヒト・モノ・カネ」の中の“労働力”という一要素に過ぎませんでした。しかし、現代の経営環境では、従業員の創造性・専門性・コミュニケーション力などが企業価値を決定づける“資本”と認識されるようになっています。
人的資本経営の定義
人的資本経営とは、人材を単なる労働力としてではなく、企業価値を高める重要な資本として捉え、従業員の能力開発や働きがいの向上を通じて、組織全体のパフォーマンスを向上させる経営手法です。
近年、企業の持続的な成長には、財務資本だけでなく、人的資本への投資が不可欠とされています。特に中小企業においては、限られたリソースの中でいかに人材を育成し、活用するかが競争力の鍵となります。
2. なぜ今、人的資本経営が注目されるのか?
(1)人手不足と構造的な労働力減少
中小企業を中心に「人材確保」が経営課題の最上位にあります。少子高齢化が進む日本では、限られた人材を“いかに活かすか”が企業存続のカギとなります。
(2)ESG経営の要請
投資家やステークホルダーからは、財務情報だけでなく「人的資本」などの非財務情報の開示が強く求められています。特に、人的資本はESGの「S(社会)」に直結する要素として評価され、上場企業を中心に情報開示の動きが急加速しています。
(3)組織パフォーマンスの向上
人的資本経営に取り組む企業は、従業員のロイヤリティ向上や離職率の低下、生産性の向上を実現しています。結果として、顧客満足度や企業の持続的成長にもつながるのです。
3. 人的資本経営に取り組む5つのメリット
(1) 従業員の定着率が向上する
人的資本経営では、働く人のスキルや価値観を尊重し、キャリア形成や働きがいに寄り添った経営が行われます。その結果、社員の満足度が高まり、離職率の低下や組織の安定化につながります。特に若手人材の離職防止に効果的です。
(2) 企業のブランド価値・信用力が向上する
人的資本の情報を積極的に開示することで、社会や投資家に対して「人を大切にする企業」というイメージが定着します。上場企業に限らず、中小企業でも人的資本の取り組みがメディアや採用市場で評価され、信頼獲得の大きな武器となります。
(3)採用力の強化につながる

求職者は企業選びにおいて「成長環境」「多様性」「働きがい」といった非財務情報を重視しています。人的資本経営によって企業の魅力を見える化できれば、応募者の質・量が向上し、優秀な人材が集まりやすくなります。
(4)生産性・創造性の向上
従業員の能力開発に投資し、働きやすい環境を整備することで、モチベーションとエンゲージメントが高まります。結果として、社員一人ひとりのパフォーマンスが向上し、組織全体の生産性や創造力も高まります。
(5)中長期的な企業価値の向上
人的資本経営は、短期的な成果ではなく、長期的視点での企業成長を重視します。人材の定着・成長・組織文化の醸成が中長期的な競争力の源泉となり、将来にわたって安定した成長を実現できます。
このように、人的資本経営は単なる「人事施策」ではなく、経営そのものの質を高める戦略です。補助金を活用しながら取り組みを進めることで、コスト負担を抑えつつ大きな経営効果が期待できます。
4. 広島県人的資本経営促進補助金とは?
(1) 概要
この補助金は、広島県内企業が人的資本経営を実践する際に必要な取り組み(人材育成、制度設計、情報開示等)に対し、必要経費の一部を補助する制度です。

(2) 対象となる企業
以下の条件をすべて満たす企業が対象となります:
広島県内に本社または主たる事業所があること
広島県人的資本経営研究会に加入していること
広島県が提供する「人的資本開示ツール」でレポートを作成済み、または補助金申請年度内に作成予定であること
レポートを事業完了までに公開すること
(3) 補助対象事業と補助金額
補助対象となる事業は、「広島県人的資本開示ツール」を用いて自社の現状を可視化し、人的資本情報の開示指標等の改善に向けて実施する取組です。
補助金額は、人的資本開示レポートを組織内外に公開(外部開示)する場合は上限80万円、組織内に限定して公開(内部開示)する場合は上限30万円となっています。
(4) 申請手続きの流れ
補助金の流れをしっかり押さえておきましょう。大まかな流れは以下の通りです:
【取組の選定】補助金の対象事業から、自社に合った内容を選定
【交付申請】申請書を作成し、メールまたは郵送で提出
【専門家派遣】広島県から専門家が派遣され、具体的な支援を受ける
【交付決定】県による交付決定通知を受けてから、事業をスタート
【事業実施】選定した人的資本の取り組みを実施。レポートも作成
【実績報告】事業完了後、実績を報告し、補助金が交付される
(5) スケジュール
申請期間は、令和7年4月1日から令和7年9月30日までとなっています。ただし、予算の上限に達した時点で締め切られる可能性がありますので、早めの申請をお勧めします。
まとめ:人的資本経営は“未来への投資”である
広島県の補助金制度を上手に活用することで、人的資本経営への第一歩を踏み出すことが可能になります。
今後ますます企業に求められる「人に投資する経営」。広島県の支援を受けながら、自社の組織力・経営力を磨いていきましょう。
人的資本経営への第一歩は、信頼できるパートナー選びから
人的資本経営に取り組むことは、単なる人事施策ではなく、企業の持続的な成長を実現するための経営戦略です。しかし、「何から着手すればいいかわからない」「補助金の申請や制度設計が難しそう」と感じている経営者・人事担当者も多いのではないでしょうか。
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広島県人的資本経営促進補助金の申請支援
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組織風土改革やエンゲージメント向上施策の構築
といった、中小企業の課題に即した実践的なコンサルティングを提供しています。
広島県内企業の現場を熟知しているからこそ、実効性のある支援と補助金を活用したコスト負担の軽減を両立することが可能です。
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