迫るゼロゼロ融資の返済期限!経営者が返済に備えて準備しておくべきこと
- 中小企業診断士 田村雅紀
- 2024年9月12日
- 読了時間: 5分
ゼロゼロ融資は、新型コロナウイルスの影響を受けた企業を支援するために、無利子・無担保で提供された融資制度です。しかし、返済猶予期間が終わり、返済が本格的に始まる時期が迫っています。経営者にとって、この返済に備えるための準備が重要です。この記事では、ゼロゼロ融資の返済に向けて経営者が取るべき具体的な対策について詳しく解説します。
1. ゼロゼロ融資の概要と返済開始の影響

ゼロゼロ融資とは、主に中小企業向けに政府が支援した融資制度で、通常は利子や担保が求められる融資条件を緩和し、無利子・無担保での資金提供を行いました。この融資は、コロナ禍において急速に悪化した資金繰りの解消を目的としており、多くの企業が資金調達に活用してきました。
しかし、返済猶予期間の終了が近づくにつれて、経営者にとっては返済の負担が現実的な課題となってきます。特に、業績が回復していない企業や、再度の感染拡大による経済的影響を受けている企業にとって、返済負担は重大な問題です。返済計画を立て、資金繰りを確保することは避けて通れないステップとなります。
2. 返済に備えるために経営者が準備すべきこと
ゼロゼロ融資の返済に備えるため、経営者が取り組むべき具体的な対策を以下に挙げます。
2-1. 資金繰り計画の見直し
まず第一に、資金繰り計画を再確認し、見直すことが不可欠です。これには、月次のキャッシュフローを正確に把握し、将来の収支バランスを見据えた計画が含まれます。特に返済額が増えるタイミングでは、キャッシュフローが急激に悪化する可能性があるため、事前に資金の流れを予測しておくことが重要です。
具体的には、以下のポイントを押さえましょう:
毎月の返済額とその影響を試算する: 融資額や返済スケジュールに基づき、毎月の返済額を明確に把握し、それが日常の運営にどのように影響するかを試算します。
予期しない支出の備え: 返済に備えて、予備的な資金を確保するための貯蓄を検討します。予期せぬ支出に対応できるような準備は、資金繰りの安定化に寄与します。
2-2. コスト削減の徹底
返済に向けた資金を確保するためには、無駄なコストを徹底的に削減することが求められます。具体的な施策としては、以下のような方法が考えられます。
サプライヤーの見直し: 仕入れコストの削減を目指し、取引先の再評価を行います。複数のサプライヤーと交渉し、コストパフォーマンスの良い取引条件を模索しましょう。
業務プロセスの効率化: 生産性を向上させるために、業務フローの改善を進めます。例えば、ITツールの導入や自動化によって、労働時間の短縮やミスの削減が期待できます。
不要な支出の削減: 経営に直接関係しない出費、たとえば広告費や経費の見直しなども有効です。すぐに成果が出るような投資以外は一時的に控え、必要な支出に集中しましょう。
2-3. 追加の資金調達方法の検討

返済負担が大きい場合、ゼロゼロ融資以外の資金調達方法を検討することも有効です。例えば、以下のような選択肢があります。
再融資の検討: 既存の融資に対する再融資や、より条件の良い融資を探すことで、返済負担を軽減できる場合があります。金融機関と相談し、条件を再交渉することも一つの手段です。
補助金・助成金の活用: コロナ禍以降も多くの補助金や助成金が提供されています。特に地方自治体や政府が提供する資金支援プログラムを積極的に活用しましょう。
クラウドファンディングや投資家からの資金調達: 事業の将来性に共感する投資家や支援者から資金を募る方法もあります。これにより、融資以外の資金源を確保することが可能です。
2-4. 財務状況の健全化
ゼロゼロ融資の返済に備えて、会社の財務状況を健全化することも重要です。具体的には、次のようなアプローチが考えられます。
売掛金の回収強化: 未回収の売掛金は、資金繰りの悪化を招く大きな要因です。取引先とのコミュニケーションを強化し、支払期限の遵守を求めましょう。また、支払いが遅れている顧客に対しては、交渉や法的手段を検討することも必要です。
在庫管理の改善: 過剰在庫は、資金を無駄に拘束する要因となります。必要最低限の在庫量を見直し、回転率を向上させることで、運転資金を確保しましょう。
利益率の向上: コスト削減だけでなく、販売価格や付加価値を高めることで利益率を向上させる施策も重要です。差別化戦略やブランド価値の向上を図り、顧客に選ばれる理由を提供します。
3. ゼロゼロ融資の返済を成功させるための心構え
ゼロゼロ融資の返済に成功するためには、経営者としての心構えが重要です。ここでは、いくつかのポイントを紹介します。
3-1. 現実的な目標設定
返済に向けた計画は、現実的かつ具体的であることが求められます。無理な目標設定は、結果的に会社の財務状況を悪化させる可能性が高いです。目標は、達成可能な範囲で設定し、着実に返済を進めることが大切です。
3-2. コミュニケーションの強化
返済計画の進捗を社内外に透明に伝えることも大切です。特に、金融機関とのコミュニケーションを強化し、必要に応じて再交渉やアドバイスを受けることで、より柔軟な返済計画を立てることが可能になります。
3-3. 将来のリスクに備える
返済だけでなく、将来のリスクに備えることも重要です。特に、再度のパンデミックや経済的ショックに備え、経営資源を柔軟に活用できる体制を整えることが、経営の安定に寄与します。
4. まとめ
ゼロゼロ融資の返済期限が迫る中、経営者が準備すべきことは多岐にわたります。キャッシュフローの改善や返済計画の確認、新たな収益源の確保、金融機関との良好な関係の維持など、返済に備えた具体的なアクションが求められます。これらの施策を講じることで、返済負担を軽減しつつ、事業の成長を目指すことが可能です。
早めの準備と適切な対策を行うことで、返済に追われることなく、持続的な事業運営が実現できるでしょう。
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