top of page

競合を見るな!?経営者が真に向き合うべきものとは

企業経営において、競合他社を意識することは当然のことのように思われがちです。しかし、実際には「競合を見るな」というアドバイスがよく耳にされます。この言葉は一見矛盾しているようにも感じられるかもしれませんが、経営戦略において非常に重要な意味を持ちます。


本記事では「なぜ競合を見てはいけないのか?」、競合に囚われすぎることでどのような問題が生じるのか、そして経営者が真に向き合うべきものは何なのかについて詳しく解説します。


1. 競合を見ることが招く問題点


オンラインでの値引き販売

1-1. 自社の独自性が失われる

競合を過度に意識しすぎると、競合の動きや戦略に追随する傾向が強まります。これは、特に中小企業にとって大きなリスクです。


競合の動きを追いかけることで、自社の独自の強みや個性が薄れてしまい、結果的に市場での差別化が難しくなります。例えば、競合が値下げを行った際に、それに対抗する形で同様の価格戦略を取ると、短期的には競争に勝つことができたとしても、長期的には利益を圧迫し、ブランド価値を下げる結果になりかねません。


競合を過度に気にするあまり、他社の成功事例をそのまま取り入れたり、同じ施策を繰り返してしまうことは、自社のオリジナリティを損なう原因となります。


市場には多様なニーズが存在し、顧客が本当に求めるのは、他社との差別化が図られた商品やサービスです。競合の真似をするだけでは、自社がそのニーズを満たす存在になれず、長期的な成長を阻害してしまいます。


1-2. 短期的な利益に囚われる

競合に対抗することに意識が集中すると、短期的な利益に固執しがちになります。例えば、競合が新しいキャンペーンを打ち出したり、新商品を発売した際に、それにすぐに対抗しようと急いで施策を打つことが多いでしょう。しかし、このような短期的な対策は、本来の経営ビジョンや長期戦略から逸脱する原因となります。


一時的に売上が上がったとしても、競合に左右される戦略では、次々に起こる競合の動きに対して都度対応しなければならず、戦略の一貫性が失われます。これでは、企業のブランド価値を構築するための長期的な計画を推進する余裕がなくなり、結果として市場におけるポジションが不安定になります。


1-3. 顧客ニーズを見失う

競合にばかり目を向けていると、肝心の顧客ニーズを見失いがちです。競合の施策に振り回され、自社の方向性を見失うと、最も大切な顧客とのつながりが希薄になります。


顧客が本当に求めているものに対して向き合わなければ、どれほど競合に勝とうとしても、最終的には市場から選ばれなくなってしまうでしょう。


顧客の声に耳を傾け、彼らが何を求めているのか、どのような問題を解決したいのかを理解することこそが、企業の成長に不可欠です。競合にばかり注目していると、顧客の本当のニーズを見逃してしまい、適切な商品開発やサービス提供ができなくなります。


1-4. 自社の本来の強みを活かせない

競合と比較して劣っている部分に焦点を当てると、無理にそのギャップを埋めようとしてしまいます。その結果、自社が持つ強みや特異性を活かしきれず、競合と同じ土俵で戦おうとしてしまうことがあります。


企業はそれぞれ異なるリソースや価値観を持っています。自社の独自性を認識し、それを最大限に活かすことが成長戦略において重要です。


競合との比較ではなく、自社が得意とする領域や他社にはない強みを強化することで、市場での独自ポジションを築くことが可能です。そのため、競合を意識しすぎることは自社の本来の価値を低く見積もることにつながりかねません。


2. では、経営者が見るべきものとは?


お客様と対話する経営者

2-1. 顧客のニーズに集中する

経営者が真に向き合うべきものは、競合ではなく顧客です。顧客が何を求めているのか、どのような課題を抱えているのか、どのようなサービスに価値を感じているのかなどを理解し、それに応える形で商品やサービスを提供することが、企業の成長を支える基本です。


例えば、ある企業が競合他社よりも高価格な商品を提供している場合、価格ではなく品質やアフターサービスにおいて顧客の期待を超えることができれば、価格競争に巻き込まれることなく、独自のポジションを確立できます。顧客にとっての価値を追求し、そのニーズに応じたサービスを提供することが、競合との違いを際立たせるための最善の方法です。


2-2. 長期的なビジョンを持つ

短期的な競合の動きに振り回されるのではなく、経営者は自社の長期的なビジョンを明確に持つことが求められます。企業は常に成長し続けるための戦略を持つ必要がありますが、その際、競合の動向に過度に依存せず、自社の方向性を確立することが重要です。


長期的なビジョンを持つことで、一時的な競合の動きに惑わされることなく、自社の成長路線を維持できます。


2-3. 社内の強みを磨き続ける

競合を見ずに、社内の強みに目を向けることも重要です。自社が他社に勝っているポイントや、独自に強化すべき部分をしっかり把握し、それを磨き上げていくことで、競合に対して自然と差別化が図れます。市場や顧客が自社の強みを認識するようになれば、他社との価格競争に巻き込まれるリスクも減少します。


例えば、技術力や商品開発力、従業員のスキルなど、他社にはない独自の強みを継続的に強化することで、競合に対して自然と優位性が生まれます。このように、自社内に注目して強みを活かすことが、長期的な成長を支えるカギとなります。


2-4. 業界全体の変化に敏感であること

競合を見るのではなく、業界全体の変化やトレンドを把握することが経営者にとって重要です。新しい技術や規制の変更、消費者の行動の変化など、外部環境の変化をいち早くキャッチし、それに対して柔軟に対応できる体制を構築することが、競合に左右されない強い経営を実現するための鍵です。


例えば、デジタル化が進む中で、新しいテクノロジーをいち早く導入することで、競合に対して優位性を保ちつつ、業界内での競争力を高めることができます。


3. 経営者が持つべき姿勢

経営者は、競合にばかり目を向けるのではなく、次のような姿勢を持つことが重要です。


自己革新を続ける: 他社に影響されるのではなく、自社独自の価値を創造し続ける。


顧客との対話を重視する: 顧客の声をしっかりと聞き、それに基づいて改善や新しいサービスを提供する。


長期的な視点を持つ: 競合の短期的な動きに左右されず、企業の成長戦略を継続的に進める。


まとめ

「競合を見るな」というアドバイスは、競合に囚われすぎて自社の方向性や顧客のニーズを見失ってしまうことを防ぐための重要な教えです。経営者が真に向き合うべきは、競合ではなく顧客や自社の強み、そして業界全体の変化です。競合に左右されずに、自社独自の価値を高めていくことこそが、持続的な成長を実現するための鍵となります。


経営の困りごとはリットコンサルティングにお気軽にご相談ください

経営コンサルティング唯一の国家資格である中小企業診断士が、御社の悩みに寄り添い解決策をご提案いたします。「どの補助金を活用すればよいのか分からない」、「売り上げの伸ばし方が分からない」、「財務体質の改善をしたい」など、困りごとがありましたら、まずはお気軽にご相談ください。



リットコンサルティング合同会社代表写真

中小企業診断士
​田村雅紀

地方移住をきっかけに、ブランドCEOから中小企業診断士にキャリアチェンジ。

​広島の中小企業の経営者の悩みを一緒に解決していけるよう、伴走支援を行っています。

掲載記事

タグ

bottom of page