利益を出したいなら廃棄ロスを減らせ!中小企業が廃棄ロスを削減する方法
- 中小企業診断士 田村雅紀

- 2024年7月30日
- 読了時間: 5分
企業が利益を最大化するためには、売上を増やすだけでなく、コストを削減することも重要です。その中でも廃棄ロスは多くの企業が抱える大きな課題の一つです。廃棄ロスを削減することで、コストを抑え、利益を増やすことが可能です。ここでは、廃棄ロスを削減するための具体的な方法について詳しく説明します。
1. 廃棄ロス削減が企業業績に与えるインパクト
近年、SDGsの普及や消費者意識の変化に伴い、企業は単なる利益追求だけでなく、社会貢献や環境への配慮が求められるようになりました。その中でも、食品業界をはじめとする多くの産業で大きな課題となっているのが「廃棄ロス」です。廃棄ロスは、企業にとって単なるコストの増加だけでなく、ブランドイメージの低下や、貴重な資源の無駄遣いといった深刻な問題を引き起こします。
しかし、廃棄ロスを削減することは、単にコスト削減だけでなく、新たな収益源の創出や、顧客満足度の向上にもつながる可能性を秘めています。
2. 廃棄ロスが発生する要因
2-1. 需要予測の不正確さ
需要予測が正確でないと、必要以上に在庫を抱えることになり、結果として過剰在庫が発生します。過剰在庫は最終的に廃棄されるリスクが高く、廃棄ロスの主要な原因となります。特に季節変動やトレンドの変化が大きい業界では、需要予測の難易度が高くなります。
2-2. 在庫管理の不備

在庫管理が適切に行われていないと、商品の有効期限が過ぎたり、品質が劣化したりすることがあります。特に食品業界では、賞味期限管理が不十分だと廃棄ロスが増加します。適切な在庫管理システムの導入と運用が不可欠です。
2-3. 生産過程での不良品発生
製造業では、生産過程での不良品発生も廃棄ロスの一因です。生産ラインの効率化や品質管理の強化が求められます。不良品の発生を最小限に抑えることで、無駄な廃棄を減らすことができます。
2-4. 商品のパッケージング
商品のパッケージングが適切でない場合、輸送中に損傷しやすくなります。これにより、商品が廃棄される原因となります。パッケージングの改善により、商品の保護性を高めることが重要です。
2-5. 販売戦略の問題
適切な販売戦略が取られていない場合、売れ残りが発生しやすくなります。例えば、価格設定が高すぎる、販売促進が不十分、マーケティングがターゲット層に届いていないなどが原因です。効果的な販売戦略を構築することで、売れ残りを減らし、廃棄ロスを防ぐことができます。
3. 廃棄ロスを削減する方法
3-1. データ分析による需要予測の精度向上

廃棄ロスの一因は、需要の過小または過大予測による在庫の過不足です。これを改善するためには、データ分析を活用して需要予測の精度を向上させることが必要です。過去の販売データ、季節性、トレンド、地域ごとの需要の違いなど、多様なデータを収集・分析することで、より正確な需要予測が可能になります。
3-2. 在庫管理システムの導入
在庫管理システムを導入することで、リアルタイムでの在庫状況を把握し、適切な発注・補充が行えるようになります。これにより、過剰在庫や欠品を防ぎ、廃棄ロスを削減することができます。自動化された在庫管理システムは、人為的なミスを減らし、効率的な在庫管理を実現します。
3-3. 賞味期限管理の徹底
特に食品業界では、賞味期限切れによる廃棄ロスが大きな問題となります。賞味期限管理を徹底するためには、在庫のローテーションを行い、先入れ先出し(FIFO: First In, First Out)の原則を徹底することが求められます。また、賞味期限が迫った商品を早期に特売するなどの対策も有効です。
3-4. 製品のリデザイン・リパッケージ
製品のデザインやパッケージングを見直すことも廃棄ロス削減につながります。例えば、包装材の量を減らしたり、再利用可能な素材を使用することで、廃棄物の量を減らすことができます。また、消費者が必要な量だけを購入できるよう、小分けパッケージを提供することも効果的です。
3-5. 社員教育と意識改革
廃棄ロス削減には、社員一人ひとりの意識改革が欠かせません。社員教育を通じて、廃棄ロス削減の重要性を理解させ、具体的な方法を学ばせることが必要です。例えば、廃棄物の分別やリサイクルの徹底、効率的な業務運営など、日常業務の中でできることから取り組むよう指導します。
3-6. 顧客とのコミュニケーション強化
顧客とのコミュニケーションを強化することで、需要の変動に柔軟に対応することができます。例えば、顧客の購買履歴や嗜好を分析し、パーソナライズドな提案を行うことで、販売機会を最大化し、廃棄ロスを減らすことができます。また、顧客からのフィードバックを活用して、商品開発やサービス改善に反映させることも重要です。
3-7. 環境に配慮した取り組み
廃棄ロス削減は、企業の社会的責任(CSR)としても重要です。環境に配慮した取り組みを行うことで、企業のブランドイメージを向上させることができます。例えば、リサイクル可能な素材の使用、エネルギー効率の向上、廃棄物の削減などの環境配慮型の取り組みを行うことで、持続可能な経営を実現します。
まとめ
廃棄ロスを削減することは、企業の利益を増やすための重要な戦略の一つです。大企業などは、正確な需要予測を行うために、AIを活用した需要予測システムを開発などしていますが、体力の無い中小企業では難しい状況です。しかし、昔ながらの「勘」に頼った需要予測では、いつまで経ってもロスを削減することができません。まずは、販売実績を分析してみることから始めることが大切です。
今回紹介したような具体的な方法を実践することで、廃棄ロスを大幅に削減し、持続可能な経営を実現することができます。これらの取り組みを継続的に行い、企業全体で廃棄ロス削減に取り組むことで利益を確保できるようになるでしょう。
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