中小企業が生き残るために今すぐ始めたい!管理会計の導入と実践法
- 中小企業診断士 田村雅紀

- 4月16日
- 読了時間: 5分
企業経営において、「数字を読む力」は経営者にとって必要不可欠なスキルです。特に不確実性が高まる昨今、勘や経験だけに頼る経営には限界があります。これからの時代は、経営判断の根拠となる「管理会計」の知識と実践が経営の成否を分けます。
本記事では、「なぜ今、経営者に管理会計が必要なのか?」という視点から、財務会計との違い、実務に役立つ管理会計の活用方法、導入手順と注意点まで詳しく解説します。
なぜ今、経営者は管理会計を知るべきなのか?

多くの中小企業では、決算書は税理士任せ、月次試算表も形式的に確認するだけという状況が少なくありません。しかしそれでは、赤字の原因や利益が出ていない理由を把握することも困難です。
管理会計は、経営者自身が「会社の数字」を経営に活かすためのツールです。
経営環境が目まぐるしく変化する今、リアルタイムで事業の課題を見つけ、方向性を見直すためには、財務会計(=過去の結果報告)に加え、経営の「現在地」と「これから」を見える化する管理会計が必要不可欠です。
管理会計とは?財務会計との決定的な違い
財務会計と管理会計の違いを理解することが第一歩です。両者の役割や目的を整理してみましょう。

財務会計が「企業の外部向け報告」であるのに対し、管理会計は「内部向けの意思決定支援ツール」です。経営者の戦略判断を助けるのが管理会計の役割です。
管理会計の主要な領域と活用方法
管理会計は自社の経営課題に合わせてカスタマイズできる柔軟性の高い仕組みです。以下に、具体的な活用領域とその実務的な使い方を紹介します。
1. 部門別損益管理(セグメント別P/L)
部門別・支店別・商品ライン別などの単位で損益を把握することで、どこで利益が出ているのか、どこが赤字なのかが明確になります。
活用例:
・赤字店舗の改善、撤退判断
・販売チャネルごとの粗利比較
・マネージャー単位での責任と成果の明確化
2. 原価計算とコスト構造の見える化
自社の商品・サービスごとの真の利益を把握するには、直接費・間接費を含めた原価管理が欠かせません。
活用例:
・採算の取れない商品を特定し、価格改定や廃止の判断材料に
・案件別の利益率を比較し、営業の注力先を選定
・固定費・変動費の分析による収支の安定化
3. 予算管理と実績差異分析
年間・月間の予算を立て、実績とのギャップ(差異)を分析することで、未達要因を早期に把握できます。
活用例:
・売上目標未達の原因分析(件数不足か単価不足か)
・販売促進施策の効果測定
・コストの使い過ぎを早期に是正
4. KPI(重要業績評価指標)による現場改善
粗利率、在庫回転率、リードタイム、営業一人当たり売上など、業種・業態に応じたKPIを設定し、日常的に数値管理を行います。
活用例:
・現場の改善活動の指標化
・営業チームのパフォーマンス比較
・製造現場での歩留まり管理・改善
これらの情報を可視化することで、「感覚ではなく、データに基づいた意思決定」が可能になります。
管理会計導入のステップと注意点
「管理会計を導入したいけれど、どこから手をつけて良いかわからない」と感じる方も多いでしょう。以下は、導入の基本的な流れと成功のためのポイントです。

ステップ1:目的の明確化
まずは「何のために管理会計を導入するのか」を明確にします。
例:
・赤字商品の特定
・営業部門の成果を見える化したい
・利益構造を根本から見直したい
目的が曖昧だと、分析だけして満足する「数字遊び」になってしまいます。
ステップ2:管理単位と指標の設定
どの単位で損益管理するのか(店舗別・部門別・商品別など)を決め、それに応じた数値項目(売上、原価、販管費など)を定義します。
ポイント:
・最初から細かくしすぎず、まずは「ざっくり」でもよい
・全社のKPIと部門別KPIをつなげておくと、整合性が取りやすい
ステップ3:データ収集体制の構築
日常業務の中で必要なデータ(売上、仕入、工数、在庫など)をスムーズに収集できる体制を整えます。
注意点:
・負担を現場にかけすぎると続かない
・既存の会計ソフトやExcelなどで始めるのもOK
ステップ4:定期的な分析と改善サイクルの確立
導入して終わりではなく、定期的に数字を確認し、経営会議や管理職ミーティングで活用することが重要です。
ポイント:
・月次での確認をルーチン化
・数字を見て具体的なアクションに結び付ける(販促強化、価格改定、設備投資判断など)
導入にあたっての注意点
導入時に以下の点に注意すると、失敗のリスクを減らせます。
・完璧を求めすぎないこと
→ 最初は精度よりも「スピードと継続性」を重視しましょう。
・社内の巻き込みがカギ
→ 経理部門だけでなく、営業・製造・総務など全社的な理解と協力が必要です。
・数字の“意味づけ”が重要
→ 単に数字を出すだけでなく、それが「どんなアクションに繋がるか」を共有することで、現場も動きやすくなります。
・外部専門家の活用
→ 制度設計や初期導入フェーズでは、中小企業診断士のような専門家の支援を受けることで、スムーズに導入が可能になります。
まとめ
管理会計は、企業の“頭脳”となる仕組みです。導入により、経営者は「感覚」ではなく「根拠」に基づいた経営判断ができるようになります。
・経営の見える化
・リスクの早期察知
・成果が出る施策の集中化
・組織の一体感の醸成
これらを実現するために、管理会計の導入は大きな力を発揮します。
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