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つながらない権利とは?離職率低下のために経営者ができること

1. つながらない権利とは何か?

「つながらない権利」とは、労働者が業務時間外において、仕事に関連する連絡や業務指示に対して応答しない権利を指します。


これは、特にスマートフォンやパソコンなどのデジタルデバイスの普及に伴い、時間外でも職場との接続を強制されるケースが増えたことに対する労働者の権利として注目されています。


職場の要求が業務時間外にも及ぶと、労働者は十分な休息を取れず、心身のストレスや疲労が蓄積しやすくなります。この「つながらない権利」は、こうした時間外の労働を防ぎ、労働者のプライベートな時間と休息の確保を目的としています。


2. つながらない権利が注目される背景


休日に仕事を忘れて家族と過ごす従業員

2-1. デジタル化の進展による業務環境の変化

現代のビジネス環境は、デジタル化の進展により大きく変化しました。


企業内のコミュニケーションはメールやチャットツール、リモート会議アプリなどによって、即時に行われるようになっています。これにより、従業員は物理的なオフィスにいなくても、どこにいても職場との連絡が可能となり、働く時間や場所の境界があいまいになりました。


こうした環境では、従業員が業務時間外にも職場からの連絡に対応することが増え、プライベートな時間にまで業務が介入するリスクが高まります。その結果、労働者は心身の疲労を感じやすく、離職率の上昇や生産性の低下、メンタルヘルスの問題が浮き彫りとなってきました。


2-2. ワークライフバランスの重要性

「ワークライフバランス」という言葉は、近年ますます重要視されています。


働く時間とプライベートな時間のバランスが取れていないと、労働者はストレスを感じ、結果として生産性が低下し、最悪の場合、メンタルヘルスの問題に発展することもあります。


このため、企業は従業員の心身の健康を維持し、長期的に生産性を向上させるために、働く環境の見直しが求められるようになっています。


2-3. 離職率の上昇と人材確保の課題

労働市場が厳しさを増す中、優秀な人材を確保し続けることが企業の大きな課題となっています。


多くの従業員が職場に対して不満を抱く理由の一つとして、過剰な労働時間や、業務時間外の仕事の強要が挙げられます。これにより、従業員は疲れ果て、最終的には職場を離れるという選択を取るケースが少なくありません。


このような背景から、従業員の離職率を低下させ、長期的に働ける環境を提供するために、つながらない権利の導入が注目されています。


3. 経営者に求められる対応策


集中して業務を行う従業員

つながらない権利を企業文化として取り入れるためには、経営者や管理職が主導して対応することが求められます。以下に、経営者が取り組むべき具体的な対策を紹介します。


3-1. 業務時間と非業務時間の明確な区別

まず最初に、企業は従業員の業務時間と非業務時間を明確に区別することが重要です。


従業員が業務終了後には完全に業務から離れられるよう、業務時間外に連絡を取ることを避けるためのルールやポリシーを導入することが有効です。


例えば、業務用のチャットツールやメールシステムが、時間外には自動的に通知をオフにする設定を取り入れることが考えられます。


また、経営者自身が「業務時間外には連絡しない」という姿勢を示すことで、従業員も安心して休息を取ることができるでしょう。これにより、従業員はプライベートな時間を確保し、リフレッシュして業務に取り組むことができ、結果的に離職率の低下や生産性の向上が期待できます。


3-2. 業務の効率化と負荷軽減

つながらない権利を実現するためには、従業員が業務時間内に効率的に仕事を完了できるようにすることが大切です。


そのため、業務の無駄を省き、生産性を向上させる施策を講じる必要があります。タスク管理ツールやプロジェクトマネジメントシステムを活用し、業務の進捗を可視化することで、各従業員が抱える業務量を適切に調整できます。


また、労働者一人ひとりに対して業務量を適切に割り振ることも重要です。過剰な業務負担がかかっている従業員に対しては、他のメンバーと業務をシェアするなど、チーム全体で仕事を分担する文化を育てることで、業務の負担軽減が可能です。


3-3. 働き方改革の推進

日本政府は働き方改革を進めており、多くの企業がこの流れに合わせて労働環境を見直しています。


特に、柔軟な働き方やテレワークの導入が重要な施策となっています。テレワークにおいては、業務時間とプライベートの境界が曖昧になりがちですが、経営者は明確なガイドラインを設け、従業員が過度な働き方をしないようにサポートすることが必要です。


働き方改革の一環として、従業員が必要以上に労働時間を伸ばすことなく、適切な休息を取れるように、企業は業務の進め方や時間管理の方法を見直すべきです。


3-4. メンタルヘルスケアの充実

従業員の心身の健康を守るためには、メンタルヘルスケアの充実も欠かせません。


定期的なカウンセリングやストレスチェックの実施、またはメンタルヘルスに関する社内研修の提供など、従業員が自分の健康状態を意識し、ケアできる環境を整えることが重要です。


経営者は、メンタルヘルスに対して敏感であることが求められます。従業員がストレスを感じやすい業務環境を早期に察知し、適切な対応を行うことで、従業員が心身ともに健やかに働き続けられる環境を整えることができます。


3-5. フレキシブルな労働時間制度の導入

つながらない権利を尊重するための一つの方法として、フレキシブルな労働時間制度の導入も有効です。従業員が自分のライフスタイルに合わせて働ける制度を整えることで、働く時間に対する自由度が高まり、業務時間外の働き過ぎを防ぐことができます。フレックスタイムや時短勤務制度の導入は、従業員の満足度を高め、離職率の低下にも寄与します。


4. まとめ


休日をリラックスして過ごす従業員

「つながらない権利」は、現代の労働環境においてますます重要視される概念です。デジタルデバイスの普及に伴い、業務時間外にも職場とつながり続けることが常態化している今、従業員の心身の健康を守るためには、業務時間とプライベート時間の明確な区別が不可欠です。


経営者は、つながらない権利を尊重し、従業員が安心して休息を取れる環境を提供することで、離職率の低下や生産性の向上を実現することができます。


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リットコンサルティング合同会社代表写真

中小企業診断士
​田村雅紀

地方移住をきっかけに、ブランドCEOから中小企業診断士にキャリアチェンジ。

​広島の中小企業の経営者の悩みを一緒に解決していけるよう、伴走支援を行っています。

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