お得に設備投資をしたいなら検討すべき制度!経営力向上計画の概要とメリットについて
- 中小企業診断士 田村雅紀
- 2024年9月20日
- 読了時間: 7分
企業が成長し続けるためには、経営環境の変化に対応し、常に経営力を高めていくことが不可欠です。日本政府は、企業が競争力を強化し、経営改善に取り組むための制度として「経営力向上計画」を設けています。本記事では、「経営力向上計画とは何か?」という基本的な内容から、その制度の概要、認定を受けるメリット、さらには計画を作成する際のポイントについて詳しく解説していきます。
1. 経営力向上計画とは何か?

「経営力向上計画」とは、企業が自身の経営力を強化するために、具体的な目標や取り組みを計画にまとめ、国から認定を受ける制度です。この計画は、企業の生産性や効率を向上させ、持続可能な成長を目指すことを目的としています。経営力の向上には、人材育成、技術革新、設備の導入など、さまざまな取り組みが含まれますが、こうした経営改善の取り組みを支援するのがこの制度です。
計画は各企業が作成し、所轄の省庁から認定を受ける必要があります。具体的には、企業がどのような施策を通じて生産性を向上させるか、または技術革新を進めるかといった具体的な内容が盛り込まれます。企業はこの計画に基づいて設備投資を行い、経営力を強化しつつ、税制優遇や金融支援といった国からのサポートを受けることができるのです。
2. 経営力向上計画の制度の概要
「中小企業等経営強化法」に基づいて設けられた経営力向上計画は、企業の生産性向上や技術革新を支援するために、国が提供している重要な制度です。この計画を提出し認定を受けることで、企業は様々なメリットを享受することができます。制度の具体的な内容は、以下のような項目に分かれています。
2-1. 対象となる企業や事業者
経営力向上計画の対象となるのは、製造業、小売業、サービス業、IT業、建設業など広範な業種にわたります。特に中小企業や小規模事業者を中心に、事業規模を問わず多くの企業がこの制度を利用することができます。
2-2. 計画の内容
計画書には、企業が取り組むべき具体的な施策や、その施策を通じてどのように生産性を向上させるかを記載します。たとえば、新しい設備の導入や技術の採用、人材のスキル向上に関する取り組みなどが含まれます。こうした計画を通じて、企業は経営力の向上を目指すことが求められます。
2-3. 認定の申請先とプロセス
計画は所轄の経済産業省や各都道府県の経営力向上支援機関に提出し、審査を受けたうえで認定されます。認定のプロセスには一定の時間がかかるため、早めの申請が推奨されます。また、計画作成時には、専門家や経営コンサルタントのアドバイスを受けることも効果的です。
3. 経営力向上計画の認定を受けるメリット

経営力向上計画の認定を受けることで、企業は様々な優遇措置を受けることができます。特に注目すべきは、中小企業経営強化税制の適用を受けられる点です。この税制優遇は、企業が設備投資を行う際に、そのコストを減らす効果的な手段として活用できます。以下に、具体的なメリットを詳しく解説します。
3-1. 中小企業経営強化税制の適用
中小企業経営強化税制は、経営力向上計画の認定を受けた中小企業が一定の設備投資を行う際に、その設備投資に対して税制上の優遇措置を受けることができる制度です。これにより、設備投資の負担を軽減し、企業のキャッシュフローを改善することが可能となります。
(1) 即時償却または税額控除の選択
認定を受けた設備投資に対して、企業は以下のいずれかを選択することができます。
<即時償却>
設備投資を行った年度に、その設備の取得価額を全額経費として計上することができます。これにより、当期の利益が圧縮され、結果として税負担が軽減されます。
<税額控除>
取得価額の10%(資本金3,000万円超、1億円以下の企業の場合は7%)を税額控除として差し引くことができます。これにより、法人税の額が直接減少するため、即時償却よりもキャッシュフローの改善に効果的です。
(2) 固定資産税の減免
経営力強化計画の認定による固定資産の減免は、平成31年で終了しました。現在は、先端設備導入計画の認定を受けた中小企業のうち、一定の要件を満たす場合、固定資産税の特例を受けることができます。
3-2. 金融支援
認定を受けた企業は、金融機関からの融資条件が優遇される場合があります。具体的には、利率の引き下げや、融資審査の際の評価基準が緩和されることがあり、これにより設備投資のための資金調達がスムーズに進むことが期待できます。
3-3. 補助金の加点対象
経営力向上計画の認定を受けている企業は、国や地方自治体が提供する各種補助金の申請時に加点を受けることができます。これにより、補助金の採択率が向上し、さらに資金面での支援を受けることが可能となります。
4. 経営力向上計画を作成するうえでのポイント
経営力向上計画を作成し、認定を受けるためには、いくつかのポイントを押さえておくことが重要です。以下に、計画策定の際に注意すべき点を解説します。
4-1. 生産性向上の具体的な目標設定
計画の核となる部分は、「生産性向上」です。そのため、企業は具体的な数値目標を設定し、その達成に向けた取り組みを明確に示す必要があります。たとえば、売上高や利益率、従業員の生産性といった指標を用いて、計画期間内にどの程度の向上を目指すのかを具体的に記載しましょう。
4-2. 経営改善に向けた実現可能な施策
計画には、経営改善や生産性向上を実現するための具体的な施策を盛り込むことが求められます。この際、理想的な目標を掲げるだけでなく、実際に実行可能な内容であることが重要です。たとえば、設備投資や新技術の導入、従業員のスキルアップを図るための研修制度の導入など、現実的な取り組みを計画に反映させる必要があります。
4-3. 資金計画の明確化
設備投資や技術革新、人材育成などを進める際には、資金計画が不可欠です。経営力向上計画には、これらの取り組みに必要な資金の調達方法や、具体的な投資額、返済計画を盛り込むことが重要です。金融機関や補助金を活用する際にも、詳細な資金計画が必要とされるため、十分に準備を進めましょう。
4-4. 中長期的な視点での計画策定
経営力向上計画は、短期間での経営改善を目指すものではなく、中長期的な視点で策定することが求められます。企業は、数年後の経営状況を見据え、どのようにして持続的な成長を実現するかを計画に反映させる必要があります。そのためには、将来的な市場動向や競合状況、技術革新の進展などを見据えた長期的な経営戦略が重要です。
4-5. 専門家のサポート
経営力向上計画の作成には、専門的な知識や経験が必要です。特に税制優遇や金融支援の申請プロセスにおいては、専門家のサポートを受けることで、計画作成がスムーズに進み、認定を受けやすくなります。経営コンサルタントや税理士、行政書士など、信頼できる専門家との連携を検討しましょう。
4-6. 計画のフォローアップと改善
計画を策定して終わりではなく、その後のフォローアップや改善が重要です。経営環境の変化や計画実行の進捗に応じて、計画を柔軟に見直し、必要な修正を加えることが求められます。定期的な振り返りを行い、計画通りに進行しているか、目標達成に向けた施策が適切かを検討しましょう。
5. まとめ

経営力向上計画は、企業が生産性向上を目指し、経営改善に向けた取り組みを具体的に示す計画です。この計画の認定を受けることで、税制優遇や補助金、融資の優遇措置など多くのメリットを享受でき、企業の成長を後押しします。計画を作成する際には、現実的な目標設定や資金計画を明確にし、中長期的な視点での経営戦略を盛り込むことが重要です。
企業が競争力を高め、持続的な成長を実現するために、経営力向上計画は非常に有効なツールとなります。適切な計画を策定し、認定を受けることで、今後の経営改善に大きなメリットをもたらすでしょう。
もし、経営力向上計画の作成や申請に関して不安や疑問がある場合は、ぜひ私たちのリットコンサルティング合同会社にご相談ください。豊富な経験と専門知識を活かし、あなたの企業が最適な形でこの制度を活用できるよう、全力でサポートいたします。
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