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【経営者の悩み】法人で扱う書類の保存期間はいつまで?書類ごとの保存期間と整理方法


企業の経営を行う上で、法人が扱うさまざまな書類を適切に保管することは法律上の義務です。これらの書類は税務、労務、取引など、さまざまな分野にわたり、それぞれ保存期間が異なります。適切な保存期間を把握していないと、法律違反に問われるリスクがある一方、必要以上に保管し続けるとコストやスペースの無駄にもなります。本記事では、法人が扱う主要な書類の保存期間について、法律で定められた期間を明確にし、さらに書類の整理・管理方法についても解説します。


1. 法人で扱う書類とは?


決算書類

まず、法人が日常的に扱う書類は、大きく分けると以下のカテゴリに分類されます。


法定帳簿(決算書や取引帳簿など)

税務関連書類(申告書、納税証明書、源泉徴収関連書類など)

労務関連書類(雇用契約書、給与台帳、労働者名簿など)

取引関連書類(契約書、請求書、見積書など)

その他重要書類(登記関係書類、株主総会議事録など)


これらの書類の保存期間は、法律によって規定されており、各書類ごとに異なるルールが存在します。次に、具体的な書類ごとの保存期間について説明します。


2. 書類ごとの保存期間

2-1. 税務関連書類

税務関連書類は法人の収益や支出に関する情報を記録した書類で、税務署からの監査に備えるために保管が義務付けられています。代表的な書類の保存期間は以下の通りです。


法人税確定申告書類:7年間

税務調査の対象期間が過去7年に遡るため、確定申告書やそれに関連する決算書などの書類は7年間保管が必要です。


納税証明書や領収書:7年間

税務調査の際に確認が必要になるため、納税に関する証拠書類も7年間保管が義務付けられています。


帳簿類(仕訳帳、総勘定元帳など):7年間

取引内容を記録するための帳簿類も7年間の保存が必要です。


これらの税務関連書類を適切に保管しておくことで、税務調査に備え、トラブルを未然に防ぐことができます。


2-2. 労務関連書類

労務関連書類は従業員に関する情報を管理するために必要な書類です。これらの書類も保存期間が定められており、主な書類の保存期間は以下の通りです。


労働者名簿:3年間

労働基準法に基づき、退職後3年間は労働者名簿を保管する必要があります。


給与台帳:5年間

所得税法では、給与台帳は5年間の保存義務があります。これにより、従業員に対する給与の支払履歴を適切に管理できます。


雇用契約書:5年間

雇用契約書も退職後5年間の保管が求められます。これにより、労働条件に関する紛争が発生した際の証拠として活用できます。


労災関連書類:3年間

労災が発生した場合の証拠書類や報告書類は3年間保管する必要があります。


労務関連書類は、労働条件や労働者の権利を保護するために、法定の保存期間を守ることが重要です。


2-3. 取引関連書類

取引関連書類は企業間での取引に関する証拠書類としての役割を果たします。代表的な書類の保存期間は以下の通りです。


契約書:5年間

民法では、契約書は基本的に5年間の保存が推奨されていますが、長期にわたる契約や特定の法規制がある場合は、契約期間中およびその終了後もしばらく保管しておくことが望ましいです。


請求書・領収書・見積書:7年間

税務上の証拠として、取引に関する請求書や領収書は7年間保存することが求められます。見積書は法人の場合は7年、個人事業主の場合は5年間の保存が原則です。


取引関連書類は、紛争が発生した際の証拠として活用されるため、適切な期間保管することが重要です。


2-4. その他重要書類

株主総会議事録:10年間

株主総会に関する議事録は会社法に基づき10年間の保存が義務付けられています。これは、会社の意思決定に関する記録として非常に重要な役割を果たします。


登記関連書類:永久保存

会社の設立登記や変更登記に関する書類は、法的に保存期間が定められていないものの、企業の歴史や証拠として永久保存が推奨されています。


これらの重要書類は、企業の経営や運営に深く関わるため、保存期間が長めに設定されています。


3. 書類の整理と保管の方法

次に、これらの書類をどのように整理・保管すべきかについて説明します。法人で扱う書類が増えると、保管スペースや管理負担が増大します。効率的に管理するための方法として、以下のポイントが挙げられます。


3-1. デジタル化による効率化

紙の書類はスペースを取るだけでなく、検索にも時間がかかります。書類をスキャンしてデジタル化することで、検索性を向上させ、保管スペースも削減できます。税務書類などの一部は、国税庁のガイドラインに基づいた電子帳簿保存法に則ってデジタル保存が可能です。


3-2. 定期的な整理と破棄

書類の保存期間が過ぎたものは、適切なタイミングで破棄することが重要です。特に個人情報を含む書類や機密文書は、セキュリティ対策を行った上で確実に廃棄することが求められます。これにより、無駄な保管スペースの削減や情報漏洩の防止が可能です。


3-3. カテゴリごとの分類と管理

書類を保存期間ごとに分類し、カテゴリ別に整理することで、管理がしやすくなります。たとえば、税務関連、労務関連、取引関連といった大分類でファイルを分け、それぞれの保存期限を明示するラベルを付けておくと良いでしょう。デジタル化した書類にも、ファイル名やフォルダ名に保存期間を記載しておくと便利です。


3-4. クラウドストレージの活用

クラウドストレージサービスを利用することで、書類の保存場所にとらわれず、どこからでもアクセス可能になります。これにより、書類の共有が容易になり、バックアップ対策としても有効です。ただし、重要な書類についてはセキュリティの観点から、信頼性の高いサービスを選ぶことが必要です。


3-5. 専門業者の利用

書類の管理や保管が難しい場合は、専門業者に依頼することも一つの手です。特に、機密書類や大量の紙資料がある場合は、セキュリティの確保が課題となります。専門業者であれば、安心して書類の保管や廃棄を任せることができます。


4. まとめ

法人が扱う書類には、法的な保存期間が設定されているものが多く、これを守ることは経営者にとって重要な責任です。税務、労務、取引、その他重要書類それぞれに保存期間が異なるため、これらを正確に把握し、適切に管理・保管することが求められます。また、書類のデジタル化や整理方法を工夫することで、保管スペースの削減や管理の効率化が可能です。


適切な書類管理は、経営リスクを低減させ、業務の効率化にもつながるため、定期的に見直しを行いましょう。


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リットコンサルティング合同会社代表写真

中小企業診断士
​田村雅紀

地方移住をきっかけに、ブランドCEOから中小企業診断士にキャリアチェンジ。

​広島の中小企業の経営者の悩みを一緒に解決していけるよう、伴走支援を行っています。

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