【広島の後継ぎ経営者必読】最初に知っておくべき「経営」の基礎知識
- 中小企業診断士 田村雅紀
- 4月18日
- 読了時間: 7分
「父の会社を継ぐことになったけれど、正直、何から始めたらいいかわからない…」 「経営者としての知識が足りないまま、現場のリーダーになってしまった…」
これは、広島で家業や中小企業を引き継ぐ“後継ぎ経営者”にとって、決して珍しくない悩みです。創業者とは異なり、「すでにある組織」を受け継ぐ立場として、プレッシャーやしがらみを抱えつつ、時には社員や取引先、そして家族の期待に応えながら経営を進める必要があります。
そんな後継ぎ経営者にまず必要なのは、「経営の基礎知識」を知ることです。そして、それを活かして、自社の方向性を見極める力を養うことです。
この記事では、これから経営を担っていく上で知っておくべき「経営の基本」と、よくあるつまずきポイントをわかりやすく解説します。
1. 経営とは「意思決定」の連続である

経営とは、日々の選択の積み重ねです。「どの事業に注力するか」「どんな人を採用するか」「いまの資金で何に投資するか」など、すべてが意思決定の連続です。
そして重要なのは、その意思決定が会社の理念・ビジョンと一貫しているかという点です。会社を継いだばかりの後継者が、よく陥りがちなのは「これまで通りやっていればいい」と考えてしまうこと。しかし、時代や市場環境は常に変化しています。時代に合った判断力と、舵取りを行う勇気が後継者には求められます。
▼アドバイス
後継者としての第一歩は、「自分がどんな会社を作りたいのか」を言語化することです。先代の想いを大切にしつつ、あなた自身のビジョンも描くことが大切です。
2. 「ヒト・モノ・カネ・情報」4つの経営資源を理解する
経営の基本は、「ヒト・モノ・カネ・情報」のバランスです。この4つの資源を、いかに効果的に活用するかが、会社の成長を左右します。
◆ヒト(人材)
・優秀な人を採用できない
・社員との信頼関係が築けない
これらは多くの後継ぎ経営者が直面する問題です。特に先代のカリスマ性が強かった場合、社員との関係構築に苦戦することがあります。
→解決のカギは「対話」と「仕組み化」です。
上から指示するだけでなく、現場の声を聞き、納得感のある意思決定を意識しましょう。
◆モノ(製品・サービス)
自社の商品・サービスが市場にどのような価値を提供しているのかを、改めて整理してみましょう。「創業当時の強み」が今も通用するとは限りません。
→市場ニーズに合わせてブラッシュアップすることが必要です。
◆カネ(資金)
中小企業の経営では、キャッシュフロー(資金の流れ)管理が極めて重要です。利益が出ていても、資金繰りが厳しければ倒産してしまうこともあります。
→毎月の資金繰り表を作成し、「お金の流れ」を可視化しましょう。
◆情報
ITの進化により、経営に役立つ情報があふれていますが、正しく選別し、自社に活かすことが大切です。
→経営者仲間との情報交換、専門家の活用がポイントです。
3. 後継ぎ経営者が経験する、経営の現場で起こる「よくあるつまずき」
経営の理論を学んだとしても、実際に経営の現場に立つと、様々な“想定外”が次々と起こります。特に後継ぎ経営者は、創業者とは異なる立場ゆえの難しさを感じることが多いものです。ここでは、広島の中小企業を多数支援してきたLit Consulting合同会社が実際によく相談を受ける、「つまずきポイント」とその乗り越え方を解説します。

●社員からの無言の抵抗や不信感
「若いくせに」「社長の息子ってだけだろ」――直接的に言われなくても、そうした空気を感じたことはありませんか?
これは「実力で信頼を勝ち取る」しかない、と思いがちですが、それだけでは時間がかかりすぎます。むしろ重要なのは、「まずは人間関係を築くこと」です。
対処法:
・1on1ミーティングを月1回でも実施し、社員一人ひとりの話を“聴く”姿勢を持つ。
・「ありがとう」や「お疲れさま」を惜しまない。
・経営判断の背景をオープンに説明し、透明性を持たせる。
これにより、社員から「この人の下で頑張ろう」と思われる関係が築けます。
●旧態依然とした文化やルールが変えられない
「このやり方でずっとやってきたんじゃけえ」「変えると現場が混乱する」
よくあるのが、過去の成功体験に基づく“慣習の押し付け”です。新しい取り組みをしたくても、現場からの拒否反応が強く、動けなくなるケースも多いです。
対処法:
・まず「小さく変えて効果を見せる」ことがポイント。
・例えば、紙の業務日報を一部だけデジタルに変える。
・成果が出たらそれを数値で見せ、「変えることの意味」を共有。
特にベテラン社員には、頭ごなしの改革ではなく、「尊重しつつ一緒に変える」スタンスが重要です。
●経営者としての孤独とプレッシャー
「すべての決定は自分が責任を負う」
経営者である限り、この重圧からは逃れられません。さらに後継者は、先代や親族、取引先の“比較の目”にさらされがちです。
対処法:
・社内に相談できるNo.2(参謀役)を育てる
・経営者同士のネットワークや外部専門家との関係を築く
孤独を抱えたままでは、思考が偏り、冷静な判断ができなくなる危険も。信頼できる外部の壁打ち相手を持つことは、後継ぎ経営者の精神的安定にも直結します。
4. 経営者に求められる「3つの視点」──具体的にどう使う?
前章で紹介した「内部視点・外部視点・戦略視点」は、経営判断の三本柱です。ここでは、それぞれを日々の業務でどう活かすのかを、具体例とともに紹介します。
①【内部視点】社員の表情や現場の変化を見逃すな
現場での小さな不満が、大きな退職や生産性低下につながることもあります。
実践ポイント:
・社員の声を拾う仕組み(匿名アンケート・朝礼での意見共有など)を作る。
・定期的に現場巡回をして、“今の空気”を肌で感じる。
「現場の空気は、数字より先に会社の変化を教えてくれる」ことを忘れてはいけません。
②【外部視点】お客様・競合・市場を常に観察する
「うちの商品が売れないのは不況だから」と決めつけていませんか?
実は競合が価格を下げていたり、顧客ニーズが変化していたりすることも。
実践ポイント:
・定期的に顧客アンケートを実施し、リアルな声を集める
・競合の販促・HP・SNSをチェックして情報収集する
・商工会議所や展示会など、情報が集まる場に積極参加
外部の変化に気づく力が、変化対応力に直結します。
③【戦略視点】「5年後どうなっていたいか」を描く
忙しい日々の中で、つい「今日・今月・今年」のことばかりに目を向けがちですが、それでは持続可能な会社は築けません。
実践ポイント:
・会社の10年ビジョンを社員と一緒に言語化する
・短期的な売上より、「将来残るもの」に投資する
・自社の強み・弱み・機会・脅威を見える化(SWOT分析)する
未来を見据えた視点が、あなたのリーダーシップを強化し、社員の信頼にもつながります。
5. 後継者支援に強い!Lit Consulting合同会社にご相談を!

ここまで読んで、「頭ではわかるけど、実際にやるのは難しい…」と感じた方も多いかもしれません。だからこそ、信頼できる“伴走者”の存在が必要です。
▶ Lit Consulting合同会社とは?
広島を拠点に、中小企業経営者に特化した経営支援を行うコンサルティング会社です。単なるアドバイスだけでなく、「一緒に考え、共に進む」実践的なサポートが特徴です。
▼主な支援内容
・後継者のための経営コーチング・理念策定支援
・社内の信頼関係構築サポート(1on1、評価制度づくりなど)
・資金繰り、補助金、経営計画作成の伴走支援
・社員研修、経営者向け勉強会の企画・実施
▼こんな方におすすめ
・親の会社を継いだが、社員との距離感に悩んでいる
・経営の基礎を一から学び直したい
・孤独な経営から脱却したい
・第三者の冷静な視点で、経営課題を整理したい
最後に──「相談できる経営者」になろう
経営者は「何でも自分で決める人」ではなく、「必要なときに助けを求められる人」であるべきです。
後継者としての第一歩は、「自分だけで何とかしようとしない」こと。
そして、信頼できる相談相手と共に、未来に向かって一歩ずつ進むことです。
Lit Consulting合同会社は、そんなあなたのそばで、現実的なサポートと精神的な支えを提供します。